コラム|イー・エージェンシー

オンライン・オフラインを横断すると成果がわからない…マーケティング施策の成果を追う方法

作成者: 神崎 恵|Jul 23, 2024 11:00:00 PM

多くの企業がデジタルマーケティングを精力的に行っていますが、すべての施策がオンラインのみで完結することは稀です。例えば、物件を探す際は、Webサイトでの情報収集だけでなく、必ず内見に行ってから契約に至るでしょう。病気を治したい場合も、口コミなどの情報収集だけでなく、実際に来院することが必要です。
このように、どうしてもオフラインのデータは発生してしまいます。重要なのは、絶対に発生してしまうこのオフラインのデータをいかにオンラインのデータと結びつけて、次の施策に活かせるかということです。このオフラインとオンラインの情報を結びつけるマーケティング手法をO2O(Online to Offline)と呼びます。

本記事では、BigQueryを利用してオンラインとオフラインのデータを統合し、Google アナリティクス 4 プロパティ(以下GA4)やLooker Studioを活用し成果を可視化するO2Oの方法について詳しく解説します。

オフラインデータの重要性と課題

まず、オンラインデータとオフラインデータの違いと重要性について理解しましょう。オンラインデータには、Webサイトの訪問者数、クリック数、フォーム送信数、オンライン予約数などが含まれます。一方、オフラインデータには、実店舗への来店数、購入数、サービス利用数などが含まれます。これらのデータを別々に分析するだけでは、どのデジタルマーケティング施策が実際に店舗来店や購入などの最終的な成果に繋がったのかを正確に把握することは困難です。

一方、店舗での売上の62%にオンラインが何らかのかたちで貢献・影響していると言われており(※)、それら売上への貢献度を正確に把握する必要があります。
※ 参考: eMarketer Offline Share of Retail Sales Deloitte - Navigating The New Digital Divide

企業が抱える具体的な課題
  • 施策の効果を一貫して追跡できない
  • どの施策が成約に繋がったのかが分からない
  • オンラインとオフラインのデータが点在している

そして、これらの課題を解決するためには、BigQueryを活用したデータ統合とLookerやLooker StudioといったBIツールによる可視化と分析が重要です。

 

オンラインデータとオフラインデータを統合し活用する4ステップ

それでは、具体的にオンラインデータとオフラインデータを統合し、活用する方法について、保険業界を例に挙げてご紹介します。

この企業様では、Web上で資料請求をしたお客様に対し、電話でアポイントをとり、来店へと繋げ、最終的に成約いただくビジネスフローをとっています。
資料請求フォームに入力されたデータはGoogle アナリティクスへと送信している一方、オフラインのデータは、自社で活用しているCRMへと蓄積されます。この2つのデータを統合し、マーケティング成果を分析していきます。

 

ステップ1 データをGA4で取得しBigQueryと連携する

ユーザーが資料請求フォームからお申し込みを行う際に、発行された会員IDを元に、Google アナリティクスに会員IDをハッシュ化してユーザーID(user_id)で取得します。
今後、このユーザーがWebサイトやアプリでログインした状態の際にも、同様にユーザーIDを送信してください。そうすることで、Google アナリティクス上で、取得したユーザーIDによって、ユーザーの識別を行うことができます。
Google アナリティクスでは、取得したデータを、管理画面で簡単にBigQueryにアップロードすることができます。Google Cloud製品の1つであるBigQueryは、大規模なデータを蓄積し、迅速に処理するための強力なツールです。
注意点としては、Google アナリティクスのデータテーブルは配列を用いた入れ子構造になっていますので、データ結合にそなえて扱いやすいようにフラットテーブル化する必要があります。

 

ステップ2 CRMデータを自動アップロードする仕組みを構築する

次に、CRMツールに蓄積されたオフラインのデータを見ていきましょう。CRMには、先述のWeb上の資料請求時に取得した、ユーザーの氏名や電話番号などの個人情報に加えて、その後の来店時のデータ、商品の購買履歴等が含まれています。
BigQuery上でオンラインとオフラインの情報を統合するためには、必要なCRMデータを定期的にBigQueryへアップロードする必要があります。そこで、データの抽出(Extract)、変換(Transform)、そしてロード(Load)を自動化するETLツールを活用します。このETLツールを使えば、データのアップロードが自動化され、手動よりも工数を削減できます。

 

ステップ3 BigQueryでデータを統合する

次に、BigQueryにインポートしたオンラインとオフラインのデータをユーザー軸で結合していきます。この結合には、「結合キー」とよばれる共通の識別子(例:顧客ID、予約IDなど)が必要です。
顧客IDなど、変わることのない識別子を結合キーに設定するのが一般的です。

もしも、共通の識別子がない場合は、事前に作成する必要があります。今後のデータ活用において結合キーの設定は重要となるため、できればデータ活用のプロに相談することをオススメします。

 

ステップ4 Looker Studioでレポートを作成する

Google Cloud製品であるLookerやLooker StudioなどのBIツールでは、ダッシュボード作成やそれを用いた分析を行うことができます。BigQueryと連携することで、視覚的に分かりやすく表示することができるため、ぜひ活用していただきたいツールです。

ダッシュボードの例
  • プロモーションなどのKPIの可視化
  • オンライン予約数と実店舗来店数の時系列グラフ
  • デジタル広告キャンペーンごとのオンライン予約数と来店数の比較
  • 地域別のオンライン予約数と来店数の分布図

 

統合したデータを次の施策へ活用するなら、信頼できるコンサルタントに相談を!

オンラインとオフラインのデータを統合し、データを分析することで、どのデジタルマーケティング施策が最終的な成果に結びついたのかを可視化することができます。また、施策の成果を定量的に評価することで、「来店したユーザーとの最初の接点となったデジタル広告へ予算を追加しよう!」「リアクションの高かった特定の期間でキャンペーンを強化しよう」など、マーケティング予算の最適化やリソースの効率的な配分が可能になります。

その反面、データを誤って統合したり、初期設定に失敗すると、ビジネス成果に大きなダメージを与える可能性があります。データ統合の豊富な知見をもっているコンサルタントに、設計や設定を依頼することで、長期的に見れば損失が少なくなると言えます。

Google マーケティング プラットフォーム(GMP)とGoogle Cloudの認定パートナーであるイー・エージェンシーでは、このようなオンラインとオフラインのデータ統合および分析に関するコンサルティングサービスを提供しています。
経験豊富な専門家が、貴社のデータ活用を強力にサポートいたします。ぜひお気軽にお問い合わせください。


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イー・エージェンシーは、「Google マーケティング プラットフォーム(GMP)」の認定セールスパートナー、「Google クラウド プラットフォーム(GCP)」の認定パートナーです。
また弊社はGoogleより2021年上半期における Google アナリティクス 4 プロパティ(GA4)の数多くの導入支援実績を評価され、認定セールスパートナーとしてアワードを受賞しております。
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