データドリブンなアプリ運用を目指すなら、計測の第一歩を確実に踏み出すことが重要です。シリーズ 「Firebaseでデータ計測を次のレベルへ!データの可能性を引き出す方法」 第2回の今回は、 Firebaseを利用してアプリ計測を開始する前に考慮する必要がある点を、ステップ別に分けてご説明します。
このシリーズでは、 Firebaseで計測を始める具体的な手順 や 参照元計測の強化方法、 WebView計測の注意点 など、実践的な内容をお届けします。Firebaseを使いこなして、データ分析をさらに進化させましょう!
※本記事の情報は2025年1月時点のものです。
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Google アナリティクス for Firebase(以後 GA4F)で計測を開始すると、どこからどの画面に遷移したのか、アプリを起動していた時間はどの程度か、アクティブユーザー数の推移はどうなっているか等、基本的なユーザー行動を把握することができます。
しかしアプリの場合、自動的に参照元情報が計測されることが多いウェブとは異なり、参照元情報を計測するための実装を必要とするシーンが多いのが実情です。また、アプリを起動後にWebViewに遷移するような構成の場合、WebView部分は基本的にウェブデータとして計測されてしまうという問題もあります。そのためアプリ起動中のユーザー行動であっても、WebViewに遷移することで途中からウェブデータとして計測され、アプリ起動からコンバージョンまでのユーザー行動がデータ上で分断されてしまうことも珍しくありません。
そのため分析に必要な情報を洗い出すことや、どのような実装をすれば見たいデータが見れるのかを事前に検討し、計画することが重要となります。
本記事ではFirebaseを導入するまでに必要なステップの全体像をご説明し、次回以降の記事で、参照元情報の計測やWebViewの計測への対応策について詳しく解説していきます。
GA4Fをスムーズに導入するためには、計画的な準備が欠かせません。計測を始める前に、何を計測したいのかを明確にし、適切な方法で設定を進めることが大切です。しっかりと計画を立てることで、後からの手戻り作業を防ぎ、効率よくデータを活用できるようになります。
以下に、GA4Fを正しく導入するための具体的な6つのステップをご紹介します。それぞれの段階で注意すべきポイントも詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
計測の目的を明確にするために、測定したい成果を具体化します。例えば、
売上高や成約数、利益率など、具体的なアプリ計測データで計測可能な範囲の指標を定めます。
アクティブユーザー数とは、ある期間内にアプリを実際に利用したユーザーの数を指し、サービスの活況度や人気度を測る上で非常に重要な役割を果たします。
リテンション率とは、ある期間内にサービスや製品を利用したユーザーが、一定期間後に再び利用した割合を示し、顧客がどれだけ長くサービスに留まっているかを表す数値です。
1人のユーザーがアプリにもたらす総収益を示します。
ユーザー獲得に対するコストを上回る収益を見込めるかどうかを測るために非常に重要です。
ユーザーから得られる収益の平均を計測し、ビジネスモデルの健全性を評価します。
他にも、ユーザー獲得コスト(CAC)、アンインストール率、 バウンス率などさまざまな指標があります。
KPIは「何を成功と定義するか」を明確にする基盤です。自社のアプリの成長に欠かせない重要な指標となるため、しっかりと計画立てしてから次のステップへ進みましょう。
ステップ1で定めたKPIを分析するために、事前に定義したKPIに基づいたデータ収集を行うことが最も重要となります。要件定義をもとに設計・実装が行われるため、計測する必要があるものを漏れなく洗い出すようにしてください。
基本的な計測だけでなく、商品詳細画面の閲覧や購入・お気に入り登録など、分析上重要となるユーザー行動をピックアップし、計測要否を判断していきましょう。
すべてのデータを計測する必要はありません。本当に必要なデータを見極めることが大切です。
要件定義を終えたら、計測する方法を検討します。
GA4Fは「イベント」という単位でユーザー行動を計測するため、1つのカスタムイベントとしてユーザー行動を計測するべきか、それとも自動で計測されるイベント(画面閲覧のscreen_viewイベント等)の追加情報として計測するべきか等を検討していきます。イベントの追加情報として計測する場合は、計測するデータが一時的に取得できればよいのか、その後のユーザー行動にも紐づけて計測する必要があるのかという点も詳細に設計する必要があります。
また、Firebaseの各機能(例:プッシュ通知を行うFirebase Cloud Messaging)と連携して計測を行う場合は、GA4F以外のSDKの実装やアプリ側の改修が必要になるケースもあります。
アプリの画面遷移を把握しつつ、計測に必要なイベントを確認していき、取得するイベントやプロパティの命名規則を定義の上、設計書に落とし込んでいきましょう。
他にもユーザーの識別方法や、セキュリティ、プライバシーなど数多くのことを考慮した設計が必要となりますが、アプリの構成や実現可能性を考慮して、適切な方法を選択することが重要です。
FirebaseおよびGoogle アナリティクス 4(以後 GA4)の仕様(文字数制限や予約語など)に沿った設計にしてください。
設計をもとに、実装や設定を行います。
Firebaseプロジェクトが用意できていない場合は、新たにFirebaseプロジェクトを作成して、GA4 プロパティと連携します。その後、ステップ3で具体的に決定した内容をアプリに実装します。
実装する際、Firebase SDKは最新バージョンをご利用ください。
アプリの実装自体は開発会社に依頼している場合が多いでしょう。そのため、アプリ開発会社にGA4F SDKの実装方法を記載した実装指示書、設計書を提出する必要があります。開発会社は実装指示書と設計書をもとに、アプリにSDKの組み込みとイベント収集のための実装を行っていきます。
なお、GA4側の設定もこの段階で行う必要がありますので、各OS毎のデータストリームの設定に加えて、設計に応じたカスタムディメンションの設定やフィルタの設定などを行ってください。
事前にGA4 プロパティに、カスタムイベントパラメータをカスタムディメンションに登録、コンバージョンはキーイベントとして登録しておかないとレポートには反映されません。
検証用のアプリで、ステップ3の設計通りに計測できているかを確認します。
イベントを計測する画面で欲しい情報が取得できていない場合は、その情報をどのように取得するかを検討し、設定や実装を調整することも必要です。
送信したデータをすぐに確認する場合は、DebugViewやリアルタイムレポートでご検証ください。
計測データがステップ2で設定した要件定義通りにGA4 プロパティでレポーティングできているかを確認しつつ、詳細な分析をします。
分析はGA4 プロパティのみで行うのではなく、ステップ1で決定したKPIを日々確認するためのダッシュボードを作成することをおすすめいたします。他にもアプリの改善を担うチーム用のダッシュボードや、広告チームなど各チーム専用のダッシュボードをBIツール(Looker、Looker Studio、Tableauなど)で作成して定点観測していきましょう。
GA4 プロパティのある1日のデータ集計が完了するのは、翌日以降となります。
基本的に翌日にはデータ集計が完了することが多い印象ですが、GA4 プロパティでは遅れて送信されたイベントを最大72時間集計するため、その間はデータが変動する可能性があります。
本記事でご紹介した各ステップに沿って対応する場合、検討事項が多く、マーケターやエンジニア等の様々な担当者の協力も必要不可欠となるため、計測開始までのハードルが高く感じられたかもしれません。しかし計測を開始する前にしっかり設計を行っておけば、何度も設定変更やアプリの改修を行う必要もなく、日々のデータの確認や施策の効果測定もスムーズに実施できます。
イー・エージェンシーでは、今回ご紹介した計測開始前のステップもご支援しており、支援実績も豊富です。本記事の内容や支援サービスの詳細に関するご質問などございましたら、ぜひお気軽にお声がけくださいませ。
本動画では、イー・エージェンシーから「Google マーケティング プラットフォーム(GMP)」をご契約された際の「付帯サービス」や「具体的な成功事例」について、動画でわかりやすくご紹介します。
「 Google アナリティクスの無料版と有料版の違い」や「そもそもGoogle マーケティング プラットフォーム(GMP)とは何か?」など、GMPツールについてもご紹介しています。
イー・エージェンシーは、「Google マーケティング プラットフォーム(GMP)」の認定セールスパートナー、「Google クラウド プラットフォーム(GCP)」の認定パートナーです。
また弊社はGoogleより2021年上半期における Google アナリティクス 4 プロパティ(GA4)の数多くの導入支援実績を評価され、認定セールスパートナーとしてアワードを受賞しております。
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