アプリ計測で見落としがちな「参照元情報」の重要性をご存じですか?
連載シリーズ「Firebaseでデータ計測を次のレベルへ!データの可能性を引き出す方法」第3弾では、アプリの参照元の計測方法についてご紹介します。広告やキャンペーンの効果を測るためには、ユーザーがどこからアプリに流入したのかを把握することが欠かせません。今回は、具体的な計測例をもとに、わかりやすくお伝えします。
このシリーズでは、 Firebaseで計測を始める具体的な手順 や 参照元計測の強化方法、 WebView計測の注意点 など、実践的な内容をお届けします。Firebaseを使いこなして、データ分析をさらに進化させましょう!
前回の記事では、Google アナリティクス for Firebaseで計測するために必要なステップについて解説しました。連載第3回の本記事では、アプリの参照元情報の計測についてご説明します。
※本記事の情報は2025年1月時点のものです。
最新の情報につきましては、お気軽にイー・エージェンシーまでお問い合わせください。
アプリ計測における「参照元」とは、計測対象のアプリを起動した際の流入元を指します。
参照元を計測するには、どこから流入したのかを判別する情報が付与された状態でアプリを起動する必要がありますが、そういった情報が付与されない場合はダイレクト流入として計測されます(アナリティクスのデータでは参照元/メディアが「(direct)/(none)」と表示されます)。
参照元情報がない状態で計測されてしまうと、広告や各種キャンペーンの施策の効果を測ることが難しく、アプリのエンゲージメントを向上することができなくなってしまいます。
そのためデフォルトでダイレクト流入として計測されてしまうケースに関しては、Firebaseでアプリの計測を開始する際に、参照元が計測できるように設定や実装を行うことが重要となります。
アプリの計測において、どういったアクセスがダイレクト流入として計測されるのかを、具体的なケースでご紹介します。
※下記は流入パターンの一例となります。
上記パターンのうちパターン1は、ダイレクト流入で計測する以外の方法はありません。
パターン2は、適切なリンクを用いてUTMパラメータを設定することで、任意の参照元情報が計測できます。パターン3は、必要な要件(広告識別子の収集やGoogle広告の自動タグの有効化など)をすべて満たすことで、Google広告からの流入であることを判別できるようになります。
アプリへの流入は他にも様々なパターンが存在しますが、パターン2のようにリンクを用いて参照元情報を計測する場合はどのような対応が適切か迷うことが多く、弊社へのご相談も多いポイントです。
ここからはパターン2のような、リンクを用いた参照元情報の計測方法について詳しく説明していきます。
アプリの参照元情報を計測する際に利用されるリンクは「ディープリンク」と呼ばれています。「ディープリンク」は、ユーザーのデバイスにアプリが既にインストールされている場合に、ユーザーがリンクをタップした際、アプリを起動させることができるリンクです。
アナリティクス計測に用いる主なディープリンクとしては、下記が挙げられます。
このリンクをクリックしたユーザーがアプリをインストール済みであれば、指定したアプリコンテンツに誘導し、ユーザーがアプリを未インストールの場合はウェブサイトを表示します。
リンク自体は通常のウェブサイトURLのように見えますが、リンククリック時にOSがアプリを開くかウェブブラウザを開くかを判断して、いずれかに遷移させています。
このリンクにはUTMパラメータを付与することができるため、任意の参照元情報でアプリのユーザー行動を計測することが可能です。
ウェブサイトとアプリの両方で同じコンテンツを表示させることができる状況 かつ、ユーザーをウェブから特定のアプリの画面に遷移させるようなシーンで利用されることが多いリンクです。
このリンクは独自のURLスキームを利用してアプリを直接起動させることができますが、アプリをインストールしていないユーザーがカスタム スキームのリンクをタップした場合は、エラーページが表示されます。
カスタム スキームには認証が必要なく、トラフィックを別のアプリに誘導してしまう可能性があるため安全性はやや低くなりますが、適切な設計や設定を行うことにより、危険性を最小限に抑えることは可能です。
このリンクにもUTMパラメータを付与することができるため、任意の参照元情報でアプリのユーザー行動を計測することができます。
※iOSは「カスタムURLスキーム」、Androidは「ディープリンク」と呼ばれる場合があります。
既にアプリをインストール済みのユーザーに対して、ウェブから特定のアプリの画面に遷移させたい場合に利用することが多いリンクです。
アプリリンク/ユニバーサルリンク | カスタムスキーム | |
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
なお、FirebaseにはDynamic Linksというアプリの参照元情報を計測するリンクを生成する機能が用意されていますが、この機能は2025年8月で廃止予定となっています。
記事冒頭のダイレクト流入になるケースでご紹介したパターン2「自社のウェブページからインストール済の自社アプリを起動」では、上記のユニバーサルリンクとアプリリンクをご利用いただくことで、参照元情報が計測できるようになります。
その他にもディープリンクを利用することで、これまでウェブにしか遷移させることができなかった導線をインストール済みのアプリに遷移させ、参照元情報を計測することも可能です。
例えばECサイトとアプリを運営している企業があり、会員に向けてメルマガを配信していると仮定します。※ECサイトとアプリは同じサービスであり、同じコンテンツを表示することが可能です。
会員に配信されるメルマガにセール商品が掲載されていて、各商品のリンクにユニバーサルリンクとアプリリンクを利用していない場合は、リンクをクリックしたすべてのユーザーがウェブサイトの商品詳細ページに遷移します。しかしこれらのリンクを利用した場合は、アプリをインストール済みのユーザーはアプリに、アプリ未インストールのユーザーはウェブサイトに遷移させることが可能です。
ユニバーサルリンクとアプリリンクを利用する際、例えば「utm_source=mailmagazine、utm_medium=mail」とUTMパラメータを設定することで、アプリで計測されたセッションの参照元/メディアは「mailmagazine / mail」という値で計測されます。
これにより、アナリティクスデータ上でメルマガからの流入であることが判別可能です。
アプリリンク/ユニバーサルリンクでは、以下の実装が必要となります。
ユニバーサルリンク(iOS) | アプリリンク(Android) | |
ウェブサイト | アプリとウェブサイトのマッピングのため、apple-app-site-association ファイルをウェブサイトに追加 | アプリとウェブサイトのマッピングのため、デジタル アセットリンク JSONを公開 |
アプリ | リンクを開いたときに該当のページを表示するため、アプリデリゲートに処理を追加し、リンクを開くための権限を追加する | リンクを開いたときに該当のページを表示するため、Android アプリリンク フィルタをマニフェストファイルに追記 |
その他 | Apple Developer Programでの設定が必要 | 不要 |
ここまで具体例を挙げてご説明してきましたが、この記事で触れたケースはほんの一例であり、アプリに流入するパターンは他にも数多く存在します。それぞれのパターンにおいて、1つ1つ設定や必要要件を満たしていくのは手間がかかりますが、広告やキャンペーンの施策の効果を図るには、ユーザーがどこから流入してきたのかを明らかにすることは非常に重要です。
イー・エージェンシーでは、アプリの参照元情報計測を含めたGoogle アナリティクス for Firebase(GA4F)の実装支援を行っております。弊社の支援サービスに関するご質問などございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
次回は、WebViewの計測で陥りやすい問題と、その対応方法について解説します。
本動画では、イー・エージェンシーから「Google マーケティング プラットフォーム(GMP)」をご契約された際の「付帯サービス」や「具体的な成功事例」について、動画でわかりやすくご紹介します。
「 Google アナリティクスの無料版と有料版の違い」や「そもそもGoogle マーケティング プラットフォーム(GMP)とは何か?」など、GMPツールについてもご紹介しています。
イー・エージェンシーは、「Google マーケティング プラットフォーム(GMP)」の認定セールスパートナー、「Google クラウド プラットフォーム(GCP)」の認定パートナーです。
また弊社はGoogleより2021年上半期における Google アナリティクス 4 プロパティ(GA4)の数多くの導入支援実績を評価され、認定セールスパートナーとしてアワードを受賞しております。
これまでの豊富な実績を元に、GA4導入・移行をお客様のビジネスに寄り添い支援させていただきます。
まずはお気軽にご相談ください。
お客様のデータ活用を伴走型で支援いたします。