GA4のレポートでサンプリングがかかったり、14ヶ月より前のデータが見られなかったりして、正確な分析が難しいと感じていませんか。
この記事を読めば、GA4とBigQueryを正しく連携させる方法を理解し、サンプリングのない精緻なデータを期間の制限なく蓄積し、SQLを用いて自由な分析やダッシュボード作成ができる状態になります。
連携のメリットから具体的な設定手順、料金体系、すぐに使えるSQL活用例まで詳しく解説します。
この記事でわかること
・ GA4のサンプリングやデータ保持期間の制限を解消する連携のメリット
・ ほとんどのサイトで無料運用できるBigQueryの料金体系
・ 専門知識がなくても3ステップで完了する具体的な連携手順
・ 連携後にすぐ使えるSQLクエリのサンプルと導入前の注意点
GA4とBigQueryを連携させると、GA4単体での分析における様々な制約を解消できます。
GA4の標準レポートでは、データ量が多い場合にサンプリングが発生したり、データの保持期間が最大14ヶ月だったりと、詳細かつ長期的な分析には限界があります。
BigQuery連携は、これらの課題を解決し、より深く自由なデータ活用を実現するための重要な手段です。
具体的には、主に5つのメリットが存在します。
これらのメリットを享受するためには、利用料金について正しく理解しておく必要があります。
GA4の探索レポートでは、分析対象のイベント数が1,000万件を超えるとサンプリングが適用され、一部のデータに基づいた推定値が表示されます。
また、ユーザー数が少ないデータではプライバシー保護のために「しきい値」が適用され、データが表示されないことがあります。
BigQueryにエクスポートされるのは、加工される前の全ての生データであるため、サンプリングやしきい値の影響を受けません。
これにより、全てのデータを基にした数値を把握できる点が大きなメリットです。
GA4(無料版)のデータ保持期間は、標準で2ヶ月、設定を変更しても最大で14ヶ月です。
これでは、前々年のデータと比較するような長期的な分析は行えません。
BigQueryに一度データをエクスポートすれば、そのデータは半永久的にGoogleCloud上に保存されます。
このメリットにより、期間の制限なく過去データを蓄積し、季節変動の分析や数年にわたるユーザー行動の変化といった長期的な視点でのデータ分析が可能になります。
GA4の管理画面で行える分析は、あらかじめ用意されたディメンションや指標の組み合わせに限られます。
BigQueryと連携すると、SQL(Structured Query Language)というデータベース言語を用いて、イベント単位やユーザー単位の生データを直接操作できます。
これにより、GA4のインターフェースでは作成できない独自の指標を定義したり、特定の条件を満たすユーザー群だけを抽出したりと、ビジネス要件に合わせた柔軟で深い分析が実現できるというメリットがあります。
BigQueryは、データポータル(旧: Looker Studio)をはじめ、TableauやPowerBIといった様々なBI(ビジネスインテリジェンス)ツールとの連携が容易です。
BigQueryに蓄積したGA4の生データをBIツールで読み込むことで、GA4の標準レポートよりも高度でインタラクティブなダッシュボードを構築できます。
このメリットを活かせば、日々のモニタリング業務の効率化や、組織内でのデータに基づいた意思決定の促進に役立ちます。
BigQueryはデータウェアハウスとして、様々なデータソースを一元的に管理する能力を持っています。
GA4からエクスポートしたウェブサイトの行動データと、自社で保有するCRMの顧客情報、広告の出稿データ、実店舗の購買データなどをBigQuery上で統合できます。
これにより、オンラインとオフラインの行動を横断した分析や、LTVの算出など、より立体的で深い顧客理解が可能になるというメリットがあります。
これらのメリットを享受するためには、利用料金について正しく理解しておく必要があります。
BigQueryの利用には料金が発生する可能性がありますが、多くのウェブサイトでは無料の範囲内で運用できます。BigQueryの料金は従量課金制で、主にデータの「ストレージ(保管)」と「クエリ(分析処理)」に対して費用がかかります。
しかし、毎月一定量まで利用できる無料枠が設けられており、特に中小規模のサイトであれば、この枠を超えることは稀です。
まずは無料枠で運用を開始し、必要に応じてコスト管理の方法を検討すると良いでしょう。
BigQueryの料金体系は、主に以下の2つの要素で構成されています。
ストレージ料金:GA4からエクスポートされたデータをBigQueryに保存しておくための費用です。
アクティブストレージ(過去90日以内に編集されたテーブル)と長期ストレージ(90日間編集されていないテーブル)で料金が異なりますが、毎月最初の10GBまでは無料です。
クエリ料金:データを分析するためにSQLを実行した際に、処理されたデータ量に応じて発生する費用です。
オンデマンド分析の場合、毎月最初の1TBまでが無料枠となります。
結論として、月間のイベント数が数百万から数千万件程度の中小規模サイトであれば、BigQueryの利用料金が無料枠を超えることはほとんどありません。
ストレージ料金の無料枠である10GBは、相当な量のデータを保存できる容量です。
また、クエリ料金の無料枠1TBも、よほど大規模なデータを対象に複雑な分析を毎日実行しない限り、使い切ることは考えにくいでしょう。
そのため、多くの場合は追加料金を心配することなくGA4との連携を開始できます。
無料枠を超えて課金が発生する場合、料金は利用量に応じて変動します。
例えば、東京リージョンでは、2024年時点でのオンデマンドクエリ料金は1TBあたり約$6、アクティブストレージ料金は1GBあたり月額約$0.023が目安です。
正確な費用を見積もりたい場合は、GoogleCloudが提供する「料金計算ツール」の利用が有効です。
サイトのイベント数や想定される分析頻度を入力することで、おおよその月額料金をシミュレーションする方法が推奨されます。
GA4とBigQueryの連携設定は、一見複雑に思えるかもしれませんが、実際には大きく分けて3つのステップで完了します。
手順通りに進めれば、専門的な知識がなくても設定可能です。
まず、Google Cloud(GC)でBigQueryを利用するための「プロジェクト」を作成し、次に必要な「API」を有効化します。
最後に、GA4の管理画面から作成したGCPプロジェクトを「リンク」させる、という流れになります。
この方法で設定を進めていきましょう。
作業を行うGoogleアカウントに以下の権限がすべて付与されている必要があります。
・GA4側: プロパティの「編集者」以上の権限。
・GCP(BigQuery)側: 対象となるプロジェクトの「オーナー」権限。
・請求先アカウント: 「請求先アカウント ユーザー」または「請求先アカウント管理者」の権限。
最初に、Google Cloud(GC)にアクセスし、BigQueryのデータを格納するための「プロジェクト」を新規に作成します。GCのコンソールにログイン後、画面上部のプロジェクト選択メニューから「新しいプロジェクト」をクリックしてください。プロジェクト名には、GA4のプロパティ名など、分かりやすい名前を任意で設定します。
組織に属している場合は、適切な組織と場所を選択して「作成」ボタンを押すことでプロジェクトが作成されます。
このプロジェクトが、GA4データの受け皿となります。
プロジェクトを作成する際、BigQueryを有効活用するためには請求先アカウントの紐付けが必要です。
無料枠を超えた場合に備え、クレジットカード情報などを登録した請求先アカウントを設定してください。
この設定を行わないと、APIの有効化やデータのインポートができない場合があります。
請求先アカウントを設定しても、無料枠の範囲内であれば料金は発生しません。
この方法は、予期せぬ課金を防ぎつつ、サービスをスムーズに利用するための重要なステップです。
GCプロジェクトの作成が完了したら、次にそのプロジェクト内でBigQuery APIを有効化します。
GCのコンソールのナビゲーションメニューから「APIとサービス」>「ライブラリ」を選択してください。
APIライブラリの検索窓に「BigQuery API」と入力し、検索結果からBigQuery APIを選択します。
表示された画面で「有効にする」ボタンをクリックすると、このプロジェクトでBigQueryが利用可能になります。
この方法でAPIを有効にしなければ、GA4との連携は行えません。
GA4との連携設定時にエラーが発生する最も一般的な原因の一つが、BigQueryAPIの有効化忘れです。
もしGA4の管理画面でプロジェクトをリンクさせようとした際に、「BigQueryAPIが有効になっていません」といった主旨のエラーメッセージが表示された場合は、このステップに戻ってAPIが有効になっているかを確認してください。
APIが有効化されないと、GA4からデータをエクスポートすることができません。
エラーが出た際の対処法として、まずはGCPプロジェクトのAPI設定を確認する方法が確実です。
GC側の準備が整ったら、最後にGA4の管理画面で設定を行います。
GA4のプロパティで「管理」>「サービスとのリンク」>「BigQueryのリンク」へと進みます。
画面右上の「リンク」ボタンを押し、「BigQueryプロジェクトを選択」から、先ほど作成したGCPのプロジェクトIDを選びます。
データロケーションを選択し、エクスポートするデータストリームとエクスポート頻度(毎日またはストリーミング)を設定して送信すれば、連携作業は完了です。
この方法で、GA4とBigQueryのリンクが確立されます。
連携設定時に選択するエクスポート頻度には「毎日」と「ストリーミング」の2種類があります。
毎日:1日1回、前日分のデータがまとめてエクスポートされます。追加料金は発生せず、多くの分析要件はこの方法で十分です。
ストリーミング:イベントが発生してから数分以内にデータがBigQueryへエクスポートされます。リアルタイムに近い分析が可能ですが、1GBあたり$0.05の追加料金がかかります。
特別な要件がなければ、まずはコストのかからない「毎日」エクスポートを選ぶ方法が推奨されます。
連携設定が完了すると、BigQuery側でデータの受け入れ準備が始まります。
GCPコンソールのBigQuery画面を開き、エクスプローラパネルに「analytics_」で始まるデータセットが作成されているか確認してください。
初回のデータエクスポートには最大で24時間かかることがあります。
データセット内に「events_YYYYMMDD」という形式のテーブルが作成されれば、正常にデータが連携されています。
この方法で連携の成功を確認できます。
GA4からBigQueryにエクスポートされたデータは、そのままでは集計されておらず、独自の構造を持っているため、分析するにはSQLの知識が必要です。
しかし、基本的な集計であれば、定型的なクエリを少し変更するだけで実行できます。
ここでは、連携後すぐに試せる、ページビュー数やセッション数、新規ユーザー数などを集計するための基本的なSQLクエリを3つ紹介します。
この方法で、まずはデータ集計の第一歩を踏み出してみましょう。
ウェブサイトの基本的な指標である日別のPV数とセッション数を集計するには、以下のSQLを実行します。
event_dateで日付を抽出し、event_nameが'page_view'であるイベントをPV数としてカウントします。
セッション数は、ユーザーIDとセッションIDを組み合わせたものを重複なくカウントすることで求められます。この方法で、日々のサイト全体のアクセス状況を把握できます。
SELECT
event_date,
COUNT(CASE WHEN event_name = 'page_view' THEN 1 END) AS pageviews,
COUNT(DISTINCT CONCAT(user_pseudo_id, (SELECT value.int_value FROM UNNEST(event_params) WHERE key = 'ga_session_id'))) AS sessions
FROM
`プロジェクトID.analytics_プロパティID.events_*`
GROUP BY
event_date
ORDER BY
event_date ASC
※全期間のデータを集計するため、データ量によってはクエリ料金が高額になる場合があります。 どのような流入経路から新規ユーザーが訪れているかを分析するには、first_visitイベントを対象に集計します。
traffic_source.source(参照元)とtraffic_source.medium(メディア)でグループ化し、それぞれの組み合わせごとにユーザー数をカウントします。
この方法を用いることで、広告キャンペーンやSEO施策の効果測定に役立ちます。
SELECT
traffic_source.source,
traffic_source.medium,
COUNT(DISTINCT user_pseudo_id) AS new_users
FROM
`プロジェクトID.analytics_プロパティID.events_*`
WHERE
event_name = 'first_visit'
GROUP BY
1, 2
ORDER BY
new_users DESC
※全期間のデータを集計するため、データ量によってはクエリ料金が高額になる場合があります。
事前にクエリ料金を確認のうえ、ご自身の責任のもと実行してください。
特定のイベント(コンバージョンなど)の発生回数を集計するSQL
商品購入や問い合わせ完了など、特定のコンバージョンイベントの発生回数を集計するには、WHERE句でevent_nameを直接指定します。
以下の例ではpurchaseイベントを対象としていますが、計測したいイベント名に変更することで様々なアクションを分析可能です。この方法で、ウェブサイトの目標達成状況を定量的に評価できます。
SELECT
event_date,
event_name,
COUNT(*)AS event_count
FROM
`プロジェクトID.analytics_プロパティID.events_*`
WHERE
event_name='purchase'
GROUP BY
1,2
ORDER BY
event_date ASC
※全期間のデータを集計するため、データ量によってはクエリ料金が高額になる場合があります。
事前にクエリ料金を確認のうえ、ご自身の責任のもと実行してください。
GA4とBigQueryの連携は非常に強力ですが、導入前に知っておくべきいくつかの注意点と制限事項が存在します。
例えば、連携設定前の過去データは遡って取得できず、エクスポートされるデータに一部含まれない項目もあります。
また、無料版GA4にはエクスポート量の上限が設定されています。
これらの仕様を理解しておかないと、連携後に期待した分析ができない可能性があるため、必ず事前に確認してください。
特に、データに関する権限や仕様の理解は重要です。
BigQueryへのデータエクスポートは、GA4との連携設定を完了した時点から開始されます。
そのため、連携設定日よりも前の過去のGA4データをBigQueryに遡ってエクスポートすることはできません。
長期的なデータを蓄積・分析したい場合は、一日でも早く連携設定を済ませておくことが重要です。
過去データがエクスポートされない仕様は、連携を検討する上で最も重要な注意点の一つです。
GA4でGoogleシグナルを有効にしていると、レポートで年齢、性別、インタレストカテゴリといったユーザー属性データを確認できます。
しかし、これらのデータはユーザーのプライバシー保護の観点から、BigQueryへはエクスポートされません。
BigQueryにエクスポートされるデータには、これらのデモグラフィック情報が含まれないことを理解しておく必要があります。
ユーザー属性が分析されない点は、事前に把握しておくべき制限事項です。
標準の無料版GA4プロパティを利用している場合、BigQueryへの1日あたりのイベントエクスポート数には100万件という上限が設けられています。
大規模なウェブサイトで1日のイベント数がこの上限を超える場合、超過分のデータはエクスポートされません。
もしサイトのトラフィックが多く、上限を超える可能性がある場合は、有料版のGoogleアナリティクス360へのアップグレードを検討する必要があります。有料版に移行することでデータ処理上限が大幅に緩和され、大規模なアクセスデータも欠落なくエクスポートできるようになります。
ここでは、GA4とBigQueryの連携に関して、多くの人が抱く疑問や不安について回答します。
連携のメリットや、設定でつまずいた際の対処法、SQLの知識に関する不安など、具体的な質問を取り上げます。
GA4のサンプリングやデータ保持期間(最大14ヶ月)の制限を受けずに、全ての生データを半永久的に蓄積し、SQLを用いて自由に分析できる点が最大のメリットです。
これにより、GA4単体では難しい、正確かつ長期間にわたる詳細なデータ分析が可能になります。
データがエクスポートされない場合、まずGoogle CloudでBigQueryAPIが有効になっているか、GA4とリンクさせたプロジェクトIDが正しいか、請求先アカウントが有効かを再確認してください。
また、連携設定後、最初のデータが反映されるまで最大24時間かかることがあります。
これらの基本的な設定を確認する方法が有効な対処法です。
いかがでしたか?
GA4とBigQueryを連携することで、GA4単体でのサンプリング、データ保持期間、分析の自由度といった制約を解消できます。連携設定は、Google Cloudでのプロジェクト作成、BigQueryAPIの有効化、GA4管理画面でのリンク設定という3つのステップで完了します。利用料金は無料枠が大きく、多くの場合コストをかけずに運用を開始できます。
連携後はSQLを用いて詳細なデータ分析が可能になるほか、BIツールとの連携で高度な可視化も実現します。注意点として、連携前のデータは遡れず、一部エクスポートされないデータがあることを理解しておく必要があります。
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