大日本印刷(DNP)グループは、創業から約150年という歴史を持ち、印刷技術から発展した多様な事業を展開する企業グループです。その一員である株式会社DNPコミュニケーションデザイン(DCD)は、発想力・独創力・実現力を武器に、企業の各種コミュニケーションをデザインしてきました。イー・エージェンシーはDCDと協力しDNP公式サイト(dnp.co.jp)を始めとするDNPグループのWebサイト群の分析を担う「事務局」の運営支援を提供しています。ここではそれらの取り組みにおけるイー・エージェンシーの貢献と、得られた成果、今後の展望について事務局の中心人物である加藤様に伺います。
株式会社DNPコミュニケーションデザイン
第3CXデザイン本部
加藤 雅彦 様
加藤様:「事務局(解析事務局)」はDNPグループWebサイトの解析業務に関する管理・運営を担う組織です。2022年4月に立ち上げた当時はDNP公式サイト(dnp.co.jp)のみを対象としていましたが、現在は10件ほどの関連サイトをサポート対象としています。それ以前はこうした業務を私1人でやっていたのですが、業務が属人化してしまう危惧や、単純に手が回らなくなってきたこともあり、イー・エージェンシーの力をお借りして、解析にまつわる各種業務をチームとして回していく体制を作りました。
日々の業務としては、広告タグの運用やタグ設計などをサポートしているほか、Google アナリティクス(以下、GA)や各種ダッシュボードの使い方に関する質問対応などを行っています。
加藤様:事務局立ち上げに際しては、もちろんいくつかの企業にお声がけしました。その中からイー・エージェンシーを選んだ理由は、第一に経験豊かな人材をしっかりアサインしていただける組織力を備えていること。第二にBtoBのWeb解析に豊富な知見をお持ちであること。第三にGoogleのオフィシャルパートナーであり、Google アナリティクスを始めとする各種サービスの運用に長けていること。過去にDNPグループと同規模の企業を支援した実績をお持ちであることも信頼感につながりました。
加藤様:社内の質疑に関して、簡易なものは即時回答をもらえています。その場ですぐに回答できないテクニカルな質問については別途Backlogに課題を立てて管理しますが、基本的には一両日中にはお返事をもらえています。
加藤様:私一人でやっていたころと比べて精神的な負担も減りました。タスクを抱え込んで遅延することがなくなったほか、課題の解決について相談できる先があることで精神的な安全性や安心感が得られている実感があります。
加藤様:「コンテンツ通信簿」は、Webサイトの品質を採点・格付けし、そのレベルを可視化する仕組みです。10年ほど前に公式Webサイトの品質向上を目的に立ち上げ、当時はページビューや滞在時間、コンバージョンへの寄与度などを評価軸としていました。これを定期的に公開・共有することで、Webページ品質の底上げを促すことが目的です。
なお、採点は手作業で行われており、Google アナリティクスから大量のデータを収集して、Excelで集計するという時間のかかるやり方で作られていました。そのため、1つのコンテンツ通信簿を作成するのに2営業日(約16時間)もかかっていたんですよ。
そこで2023年3月ごろ、イー・エージェンシーにその解決を相談し、コンテンツ通信簿をリニューアルすることにしました。
加藤様:2024年にコンテンツ通信簿を刷新した主な理由は、GAがGoogle アナリティクス 4 プロパティ(以下、GA4)に移行したことで、指標の定義が大きく変わったためです。このタイミングで集計を自動化し、表示も見やすく、分かりやすくして、コンテンツ通信簿をより良いものにしようと考えました。
開発プロセスとしては、まずDNP側で評価指標を再検討するところから始めました。たとえば、従来コンテンツ通信簿ではページビューを重視していたのですが、新しいコンテンツ通信簿では、それよりもセッションやユーザー数、なにより最終的な目的である問合わせフォームへの誘導効果を重視する方針に改めるなどしています。
イー・エージェンシーにはこの新しい評価指標を元にしたコンテンツ通信簿システムの構築を依頼しました。この際、GA4の新しい指標(エンゲージメント率など)の活用や、サーチコンソールのデータとの連携方法についての提案などをいただき、より良いものにすることができたと考えています。
加藤様:評価指標の再検討にかかった2か月も含め、およそ半年で完成させることができ、2024年7月から正式な運用を開始しています。
加藤様:まず、旧コンテンツ通信簿では約16時間かかっていた集計作業が約30分にまで短縮されました。新しいコンテンツ通信簿は、Looker Studioで構築されたダッシュボード形式で提供されており、そのビジュアルについてもイー・エージェンシーにおまかせしたのですが、見やすくまとめていただけたことで、「データを見よう」という気運が高まったのを感じています。実際、利用者からの質問も増えているんですよ。
加藤様:新しいコンテンツ通信簿では、サイトの評価が「集客力」「誘導力」「成果力」「関心喚起力」の4つの指標で点数化され、グループ全体あるいは同部門の平均点と比較できるようになりました。これにより自分の担当ページの立ち位置がより分かりやすくなったのが大きな改善点だと感じています。
加藤様:まず、現在検討中のものとして、コンテンツ通信簿の内容をPDF化した「頒布版」の作成を考えています。これには普段あまりダッシュボードを見ない人たちにも情報を共有し、コンテンツ通信簿へのアクセスを促す目的があります。すでにイー・エージェンシーからは試作をご提案いただいているので、近日中には実施できるのではないでしょうか。
なお、その取り組みの中で、経営のもう少し上のレイヤーの方々にコンテンツ通信簿を見ていただく機会があり、その中で、ページごとに異なる役割があり、評価軸も異なることを踏まえ、別の観点からも採点できるような仕組みがほしいというリクエストをいただきました。頒布版PDFよりも先の話になりますが、今後はそうしたマイナーチェンジも進めていきたいですね。
さらに長期的な展望としては、社内のデータベースやMAツールとの連携を進め、より一元管理されたコンテンツ評価プラットフォームに成長させていくことも目指しています。具体的には取引先向けに配信しているメールマガジンからアクセスして来たお客さまが、その後、どのような動線で回遊したかを可視化し、その分析データを営業部門と共有することで、見込み顧客の確度の精緻化など、営業支援・営業効率の向上として活用できるようにするといったことを考えています。
加藤様:「事務局」および「コンテンツ通信簿」の取り組みを通じたイー・エージェンシーのサポートにはとても満足しています。単純に私個人の作業量が減ったということも大きいのですが、それによって事務局に本来期待されている解析結果に裏打ちされたデータマーケティング活動に本腰を入れて取り組めるようになったことこそが最大の成果だと感じています。目先の作業に忙殺されることなく、もう少し大きな枠組みのなかで戦略立案といった業務にシフトすることができました。
イー・エージェンシーには、今後も「課題の発掘」も含めた提案を期待しています。今後は、事務局としてのサポートはもとより、「こう変えたらより良くなるのではないか」といった提案を積極的に行ってくださるとありがたいですね。
加藤様:私のように1人あるいは少人数でタスクを回していかねばならない人はかなり多いのではないかと思っています。そうした方々に伝えたいのは『なるべく属人化を廃して、抱えないことが一番大事』だということ。データマーケティングに関わるステークホルダーが増えていくにつれて、1人では対応しきれなくなるため、イー・エージェンシーのような外部の力を借りることを検討すべきだと思います。
イー・エージェンシーは、これまで培ってきた豊富な知見をもとに、Google アナリティクス 4 プロパティ(GA4)の導入・運用や、Google Cloudによるデータ統合、広告連携、アトリビューション分析、広告やメールなど顧客へのアプローチ施策の効果改善など、データ活用全般を支援しております。
まずは、お気軽にサービス資料請求、またはお問い合わせください。
みなさまのデータ活用をご支援させていただきます。