日本全国に200を超える院を構える湘南美容クリニックなど、美容医療を中心に幅広くサービスを提供するSBCメディカルグループ。お客さま、スタッフ、そして社会の「究極の三方良しを実現する」を経営理念に掲げ、低価格で高品質な医療サービスを提供してきました。ここではそんなSBCメディカルグループが取り組んできた新たなデータ分析環境構築について、プロジェクトを推進してきた中核メンバーの皆さまに伺いました。
SBCメディカルグループ株式会社
経営戦略本部 マーケティング部 戦略データ分析グループ
グループ長 シニアアナリスト
三俣 大輔様(写真左)
SBCメディカルグループ株式会社
経営戦略本部 ドクター&クリニックブランディング部
グループ長
堀越様
SBCメディカルグループ株式会社
経営戦略本部 情報システム部 システム企画グループ
グループ長
篠田 雄太様(写真中央)
SBCメディカルグループ株式会社
経営戦略本部 マーケティング部 戦略データ分析グループ
小原様(写真右)
INDEX
これからも成長し続けるためにはより高度なデータ分析環境が必要
まずは、SBCメディカルグループがGoogle アナリティクス 4 プロパティ(以下、GA4)を導入された背景についてお聞かせください。
三俣様:SBCメディカルグループは毎年120%成長を目指した事業展開を行っており、ありがたいことにこれまでは順調に実現できておりました。ですが今後もその成長を維持するためにはこれまで以上にWebを使った集客を強化していかねばなりません。
私たちマーケティング部の役割は、運営する美容クリニックに送客することです。しかし、従来のWeb広告を中心とした集客施策では、KPIがWebサイト上の仮予約申し込みまでとなっており、最終的な来院(本予約)および相談・施術をゴールとした評価が行えていませんでした。この課題を解決するには、最終的なビジネス成果をゴールとし、集客チャネルおよびランディングページの評価を行える、より高精度な分析環境が必要だったのです。
そうした中、それまで利用してきたユニバーサル アナリティクス(以下、UA)の無料版での計測に限界を感じていたこと、当時、GA4への切り換え期限が迫っていたことを受け有料版GA4への切り換えを決意しました。Googleから知見を持つパートナーとしてイー・エージェンシーをご紹介いただき、2021年末に移行プロジェクトをスタートさせています。
移行プロジェクトは三俣様の所属するマーケティング部だけを対象にしたものだったのでしょうか?
三俣様:いえ、実は同時にSBCメディカルグループに所属する医師やクリニックのブランディングを行うドクター&クリニックブランディング部(以下、D&Cブランディング部)でも同様の課題を抱えていたため、全社的なプロジェクトとしてGA4導入を進めています。
堀越様:各クリニックのホームページやInstagramなどのSNSはそれぞれのクリニックが独自で運営しており、CPP(クリニックプロモーションプランナー)と呼ばれるスタッフがUAを用いてさまざまな分析を行っていました。そうした中、データを用いたPDCAを回していくためにより正確な数値を知りたいというニーズや、Google アナリティクス(GA)上での計測結果を実際の予約データと連携させて分析を深めたいというニーズが日に日に大きくなっていることを感じており、有料版GA4への移行を検討していたのです。
SBCメディカルグループ株式会社 経営戦略本部 ドクター&クリニックブランディング部
堀越様
Webの行動データから来院までを一気通貫で見える化
そうしたビジネス課題を解決するベく、どのような仕組みを構築したのかをお聞かせください。
三俣様:GA4で取得したWeb行動データと、実際の購買データ、予約データをGoogle CloudのBigQuery上に統合し、それを弊社データウェアハウス(DWH)に連携させてTableauやLooker StudioなどのBIツールで可視化できるようにしています。
従来弊社では、UA以外にもさまざまな計測ツールを使っていたのですが、どれも外部に出力できるデータ件数に上限があり、1日100万アクセスともなると対応しきれない課題がありました。しかし、有料版GA4であればそうした制限に抵触することなく、同じGoogleのサービスであるBigQueryとの連携も極めてスムーズです。GA4のカスタムディメンションを用いてユーザーIDと紐付けられた行動データを予約データ、売上データと繋げられるようになったことで、どの流入から仮予約、本予約、来院が実現できているのかをようやく見える化できそうです。
システム構築において、イー・エージェンシーはどのようにお役に立てましたか?
篠田様:私たちがDWHで使っているSaaSとの連携に詳しい担当者を付けていただき、その知見のもと、無事に作業を完了することができました。今後は、三俣も言ったように取り込んだデータをDWH内のデータと連携させてより掘り下げた分析を行うための基盤構築や、広告運用効率をさらに高めていく仕組み作りに取り組んでいく予定です。もちろん、そちらでもイー・エージェンシーのパートナーシップに期待しています。
具体性を伴う学びを得られたイー・エージェンシーによるトレーニング
マーケティング部および各院のご担当者さまがGA4を使いこなせるようになるためのトレーニング環境についてもお話しいただけますか?
三俣様:イー・エージェンシーとの契約後、契約者向けの研修を提供してくださるということでしたので、それを使ってマーケティング部とD&Cブランディング部合同の勉強会をやっていただきました。この際、実際に我々が保有するデータを使うかたちで教えてもらえたのがありがたかったですね。具体性の伴った学びを得られたと評価しています。
堀越様:同感です。D&Cブランディング部では、GA4でやりたいことがかなりピンポイントに定まっていたのですが、そうしたニーズに沿うかたちで探索レポートを用意していただき、実際に各院で実施するための方法を研修していただけました。理解が大きく深まったのはもちろん、実務ベースに乗せられたのはイー・エージェンシーのおかげだと思っています。
三俣様:加えて、GMP プレミアムサロンで提供しているトレーニング動画も大いに役立っています。実は2023年1月から、現場のカウンセラーから希望者を募ってデータ分析メンバーを育成するという取り組みを行っているのですが、参考書を渡して読んでもらうよりも、動画の方が理解が早いですしずっと横に付いている必要もないので、教える側の負担も大幅に軽減できたと実感しています。
小原様:私は現場で2年ほどカウンセラーを務めていたのですが、学生時代に少しだけマーケティングについて学んでいたこともあり、データを元にお客さまの購買行動を予測して施策を打っていくことに興味がありました。ただし、マーケティングやデータ分析の実務経験は全くありませんし、Excelなどもきちんと触ったことがありませんでしたから、本当にゼロからのスタートだったんです。
三俣様:小原には異動後、Excel、BIツールなどを学んでもらっており、BIツールについては今では私の次に習熟しているのではないかというほどになりました。GA4についてはまだまだこれからなのですが、先日、新たに小原同様、カウンセラーからマーケティング部(戦略データ分析グループ)のメンバーを補充しており、そのトレーニングでもGMP プレミアムサロンの動画が役立っています。
小原様、GMP プレミアムサロン動画をご覧になってどのように感じられましたか?
小原様:実はExcelやBIツールについても、YouTubeなどの動画を見る形で学習させていただいているのですが、それらと比べてもGMP プレミアムサロンの動画は体系立てて学習していけるところがわかりやすいと感じました。
現場カウンセラーを経験ゼロからデータアナリストに?
ところで、小原さんは現場カウンセラーからの大抜擢ということですが、全くマーケティング知識やデータ分析知識のない人材を登用するのは少し非効率なようにも感じます。そこにはどういった狙いがあるのですか?
三俣様:確かにおっしゃるようにマーケティングやデータ分析の経験者を中途で採用する方が即戦力として期待できそうですよね。でも、実際は逆なんです。特にSBCメディカルグループのような、美容分野に長じているデータ分析経験者はほとんどいないので、彼らに新たに美容について学んでもらうコストを考えると、美容の現場で経験を積んだカウンセラーをデータアナリストとして育てた方がむしろ効率的なんです。
なるほど!
三俣様:きちんとした分析をするためには、会社のこと、商品のこと、なによりお客さまのことをしっかり知っている必要がありますからね。私たちは「技術屋」がほしいわけではないので、少なくとも戦略データ分析グループでは今後もその方針で人を増やしていくつもりです。ですので、イー・エージェンシーのようにトレーニングが充実しており、技術面のサポートをしてくださるパートナーの存在は本当にありがたいと思っているんですよ。
GA4導入でより正確なデータに基づく施策を打てるようになった
まだ、GA4導入・活用は始まったばかりとのことですが、現時点での手応え感はいかがでしょうか?
三俣様:D&Cブランディング部ではすでに現場への投入が始まっており、各院のCPPが設定したKPIを追うためにGA4の計測結果を役立てはじめています。これまで個別の院ではどうしてもサンプリングされたデータでしか施策の成果を確認できなかったのですが、ようやく正確な計測が可能になりました。
堀越様:従来から、各院の集客成果をランキング形式で確認できる環境を用意しており、それをもとに自分たちと近い院の成功事例を参考にした施策を打つことができたのですが、GA4の導入で、より緻密な比較ができるようになるため、今後の成果拡大にも期待しています。
また、今回GA4と合わせてLooker Studioも導入したことで、データ分析の専門家ではないクリニックの上長でもダッシュボードを通して最新のデータや成果を確認できるようになったことも成果の一つと言えそうです。
D&Cブランディング部においては、より正確にデータを追えるようになったことが大きなメリットと言えそうですね。
三俣様:そうですね。一方、マーケティング部においても、取得したビッグデータの統合のためのエンジニアリングコストが大幅に削減され、本来やるべきデータ分析業務に時間とコストを割り振れるようになっています。
今後はデータ活用をマーケティングだけでなく
顧客満足度の向上にもいかしていきたい
SBCメディカルグループ様の今後のデータ活用について、どのように発展させていくのかの展望をお聞かせください。
三俣様:短期的には、BigQueryに保存されているビッグデータをAI(機械学習)を活用してより有効活用していければと考えています。類似ターゲットに対して広告配信できるようにしたり、行動予測をさせたりといった基盤を構築したいな、と。ただ、我々は社内にAIエンジニアを抱えているわけではないので、GUIベースで誰でも簡単に使えるようなツールが必要です。イー・エージェンシーのご提案をお待ちしています(笑)。
中長期的にはいかがでしょうか?
三俣様:美容は一般的な医療と異なり「まずは近所のクリニックに行ってみよう」とはなりません。継続的に広告を打ち続け、認知度、信頼感を高め続けて行く必要があります。とはいえ予算は無限ではありませんから、そこにはデータに基づく効率性が求められます。そのための環境作りをさらに追求していきたいですね。
その上で、データ活用を治療の現場にも拡げていきたいと考えています。
それはどういうことですか?
三俣様:私たちの現場には、上手にお客さまの悩みを聞き出し、適切な施術を提案できる「伝説のカウンセラー」とでも言うべき人材が少なからず存在します。そのノウハウをデータ化して横展開できるような仕組みを作り出せれば、より顧客満足度を高められるのではないか、ということです。
具体的には、現場で記入いただく問診票とWeb行動履歴などを連携させ、より精度の高いカウンセリングを行えるような仕組みが考えられます。何年先になるか分かりませんが、技術的には可能なことですからやり遂げたいですね。
篠田様:お客さまに対して、今まで以上のスピード感を持って、効率的に、ピンポイントにおすすめ施術を提案できれば、一人ひとりのお客さまに相対する時間を無駄に長くすることなく、売上アップに繋げることができるのではないでしょうか。
三俣様:中短期的な目標とは言いましたが、来年くらいにはお客さまが公式サイトにログインしたときに、ファーストビューにおすすめ施術が表示されるくらいのことは実現したいと考えています。
最後に、GA4を使ったデータ分析を推進していこうと検討されているお客さまにメッセージをお願いします。
三俣様:今回、イー・エージェンシーの協力のもと、課題となっていたWebでのファーストコンタクトから、来院相談、施術までの流れを丸ごと、ユーザーと紐付けた状態で分析できる環境を整えることができました。これを最短ルートで実現できるのがGA4の強みです。さらにBigQueryと連携させることで、それを外部環境と連携させることも容易です。より個別のお客さまと寄り添っていきたい企業にとって、導入する価値のあるサービスだと感じました。
記事の中でご紹介のあった教育コンテンツ
「GMP プレミアムサロン」とは
APACでトップクラスのGA4導入実績のあるイー・エージェンシーがご提供する自学習コンテンツです。
弊社より有料版のGoogle アナリティクスをご契約のお客様へ向けてリリースしたサービスでしたが、沢山のご要望にお応えして、無料版をご利用の企業様へ販売を開始しました。
是非、Google アナリティクスを用いてデータ分析を行える人材の育成にお役立てください。
Google アナリティクスの自学習なら
GMP プレミアムサロン
GMP プレミアムサロンでは、GA4に関する基礎知識やスキルを習得できる「トレーニング動画」や、日常業務で発生する課題に対する解決策を提供する「GA4実践ガイド」など、データ活用に関するさまざまな問題を解決できるコンテンツを幅広くご用意しております。
イー・エージェンシーは「Google マーケティング プラットフォーム(GMP)」、「Google Cloud(Google Cloud Platform / GCP)」の認定パートナーです。
イー・エージェンシーは、「Google アナリティクス / Google Cloud 」を活用したSmart Analyticsの領域を強みとし、お客様データに基づく意思決定や施策実施を促進する総合支援を行っております。
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この記事を書いた人
マーケティングプランナー 新卒でイー・エージェンシーに入社。 デザイナー兼マーケティングプランナーとして活動しています。ウェビナーやトレーニング動画の編集にも従事。
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