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1st Party Dataが切り拓くデジタルマーケティング新時代|ゼロから分かる1st Party Data活用【シリーズ第1弾】  

作成者: マーケティングチーム|Jun 4, 2024 10:00:00 PM

インターネットにおける世界的なプライバシー意識の高まりを受けて「3rd Party Cookie」廃止が現実のものになりつつある中、デジタルマーケティングにおける「1st Party Data」活用に注目が集まっています。本連載ではその基礎知識から実際の対策、事例までを幅広く紹介 。まずはこの「3rd Party Cookie規制」によってどのような問題が引き起こされるのか、全てのデジタルマーケティング担当者が知っておくべきことをわかりやすく解説します。

※本記事の情報は2024年6月時点のものです。
 最新の情報につきましては、お気軽にイー・エージェンシーまでお問い合わせください。
※2024年7月22日にGoogle社が、ChromeブラウザにおけるサードパーティーCookieの廃止を
 撤回することを発表しました。

話題の「3rd Party Cookie規制」とはなんなのか?

今、デジタルマーケティング分野において、最もホットな話題となっている「3rd Party Cookie規制」。これは、ユーザーのプライバシーを保護するために、広告ネットワークや分析サービスなどの第三者(3rd Party)が設定するCookieを制限または禁止する動きのことです。ChromeやSafariなど個々のWebブラウザにおいて実施されており、規制後はCookieを用いたユーザーの特定や追跡ができなくなります。

こうした動きは2018年ごろから顕在化していましたが(下図参照)、ここ数年で急加速。先行していたSafariに続き、2024年1月4日からはChromeでもユーザーの約1%を対象とした3rd Party Cookie無効化が始まっており、2025年早期までには完全廃止するとされています。スケジュール変更の可能性はあるものの(実はすでに3度延期されています)、遅かれ早かれ3rd Party Cookieは使えなくなるものと考えるべきでしょう。

多くのデジタルマーケティングご担当者様が感じておられるよう、本件を筆頭に、年々、プライバシーを巡る規制は強化され続けており、精度の高いデジタルマーケティングを維持するには、いち早く最新情報を押さえ、対策していく必要があります。

「3rd Party Cookie」と「1st Party Cookie」の違いについて

Webを活用したデジタルマーケティングにおいて、黎明期からなくてはならないものとして活用されてきたCookie。今回話題となっているのは「3rd Party Cookie」ですが、Cookieにはそのほか「1st Party Cookie」も存在します。

1st Party Cookieは、ウェブサイトが自ら設定するCookieで、そのサイト内でのみ有効です。たとえば、ユーザーの言語設定やログイン状態を保存するために使われます。デジタルマーケティング観点では、Google アナリティクスで用いられ、カスタマージャーニーの分析などに用いられてきました。

3rd Party Cookieは異なるドメインの第三者が設定するCookieで、複数のサイトにわたってユーザーの行動を追跡するために使用されます。デジタルマーケティング観点では、リマーケティングやターゲティング広告、クロスサイトトラッキングといった手法を実現するために用いられています。

※実はそのほかに「2nd Party Cookie」も存在するのですが、デジタルマーケティングにおいては「1st Party Cookie」とほぼ同義となるため本記事では割愛します。

3rd Party Cookie規制の影響

3rd Party Cookieが規制されると、広告プロダクトやオープンDMPではサイト(ドメイン)をまたいだユーザーの特定が不可能になり、リマーケティングが困難化したり、ユーザー属性把握の精度が低下したり、他サイトでのユーザー回遊を確認できなくなったりするなど、デジタルマーケティング活動において深刻な不都合が生じます。そのため「2025年早期」にやってくる完全廃止に向け、早急な対策が求められている状況です。

<例>
Google広告を見たユーザーのブラウザCookie(3rd Party Cookie)に、「doubleclick.com」ドメインに対して従来と規制後での違い

項目 Cookie識別子 他ドメインから リマーケティング ユーザー
従来 保存される 参照可能 可能  ー
規制後 保存できない

参照不可能

不可

毎回
新規ユーザー

<できなくなること>

広告

CV計測
リマーケティング
● ユーザー属性の類推
● アトリビューション

DMP ●ターゲティング配信
● ユーザー属性の類推
● 他社への訪問履歴取得

 

1st Party Cookie規制の影響

制限を受けるのは3rd Party Cookieだけではありません。プライバシー保護に積極的なアップルのSafariでは1st Party Cookieについても保存期間が7日間に制限されるなど、保護が徐々に強化されています。8日後以降の訪問では新しいユーザー扱いとなってしまうため、カスタマージャーニーが不明瞭となり、ユーザーの定着や貢献がわからなくなる問題が発生しています。

<例>
Google アナリティクスで発行したユーザー固有䛾識別子(クライアントID)の従来と規制後での違い

項目 Cookie保存期間 翌日来訪した場合  7日間以上開けて
来訪した場合
従来 2年間 この日から2年間に更新 同一のID取得が可能
規制後 7日間

この日から7日間に更新

新しくIDが発行

<できなくなること>

自社と各プラットフォーマーデータに影響
● ユーザーの定着
カスタマージャーニー分析
LTV分析
検討期間の長いサイトでのCV貢献度分析(広告・自社ともに)

Google アナリティクス(サイト分析)における影響

Google アナリティクスは基本的に1st Party Cookieを元に分析を行うため、直接的には3rd Party Cookie規制の影響は受けません。ただし、3rd Party Cookieを絡めた活用時においては当然ながら影響を受けることになります。そこで、GA4ではユーザー合意のもとで取得した「ユーザー提供データ」を含む「1st Party Data」や、Googleの提唱する「プライバシーサンドボックス」という仕組みを用いた新機能によって、3rd Party Cookie規制後もこれまで同様の分析や施策を実施できるようにしようとしています。

1st Party Dataがデジタルマーケティングの新たな主軸になる?

3rd Party Cookie規制が本格化していく中、その代替技術の本命として注目を集めているのが「1st Party Data」の活用です。1st Party Dataは企業や組織が自ら収集し、直接管理するデータのことで、ユーザー合意のもとで取得したサイトやサービスの行動履歴データなど(下図「タグやモバイルSDKを介して収集するデータ」)と、顧客やユーザーから直接提供されたデータ(下図「生活者から直接収集するデータ」)の2種類に分類することができます。

1st Party Dataの種類

項目 タグやモバイルSDKを
介して収集するデータ
生活者から直接収集するデータ
行動 サイト訪問回数 / ページ滞在時間
サイト流入元など
ログイン情報 / サービス利用金額
解約情報など
属性 デバイス / OS / 興味関心など 年齢 / 性別 / 職業など
識別 クリックID / セッションIDなど メールアドレス / 電話番号 / 住所
会員IDなど
今後のデジタルマーケティングは、この1st Party Dataを主軸に施策の精度を高めていくことになります。

なぜ今後、1st Party Dataが重要なのか

3rd Party Cookie規制以前のデジタルマーケティング     は、3rd Party Cookieを含めたさまざまなデータをかき集め、その中から価値を見いだしていくという世界観で分析を行ってきましたが、扱えるデータ量は目に見えて減少しています。

また、EUにおけるGDPR(EU一般データ保護規則)やe-privacy指令の改正、日本国内の改正個人情報保護法や電気通信事業法の施行などにより、日本国内においても、CMP(Consent Management Platform=同意管理ツール)を用いて、ユーザーの同意を得てからCookieを取得する手法を選択する企業も増えてきており、取得可能なユーザーデータは減る一方です。

そのため、今後はより1st Party Dataの重要度が大きく高まっていくことになるでしょう。ただし、どんなにがんばっても1st Party Dataだけで全てを補うことは不可能です。プライバシーに配慮しつつ、少量のデータから機械学習技術を駆使して、失われたデータを補完していかねばなりません。

たとえばGoogle アナリティクス 4 プロパティ(以下、GA4には、同意を得られなかったデータを、AI(機械学習)を用いた行動モデリングおよびコンバージョンモデリングによって、欠損したデータの計測・分析精度を高めるソリューションが用意されています。

これまでのデジタルマーケティングでは、Google アナリティクスなど、Google プロダクトが機能向上することで、自動的にすべての企業が最新の機能と利便性を享受できていました。しかし、今後は企業がどのようなデータ(1st Party Data)をGoogleに渡すか、機械学習させるかによって、分析の精度や施策の効果に大きな差がつくことになります。「AIは学習させたデータ以上に賢くならない」ということをよく覚えておいてください。

1st Party Dataの活用でコスト効率が約2倍にも!

では1st Party Dataを効果的に活用することで具体的にどれほどの効果があるのでしょうか? 世界的コンサルティングファームであるボストンコンサルティング グループ(BCG)は、カスタマージャーニーを1st Party Dataを用いてパーソナライズし、より適切なコミュニケーションを行った企業は、1回の広告出稿で得られた利益が約1.5倍に、コスト効率では約2倍になると報告しています。

出典:BCG Global digital marketing maturity survey 2020   

もちろん我々イー・エージェンシーがご支援している企業様の中にも1st Party Dataを効果的に活用することでGoogle広告の費用対効果を高めた事例が多く存在しています。

逆風の時代に「これまで以上」のデジタルマーケティングを実現するために

いかがでしたか?
すでに現実のものとして始まっている3rd Party Cookie規制。企業が「これまで通り」のデジタルマーケティングを遂行するには、システムとプライバシーに対する考え方を根本的に変えなければならなくなりました。

イー・エージェンシーでは現在、3rd Party Cookie規制という逆風を乗り越え「これまで以上」のデジタルマーケティングを実現すべく、さまざまな支援サービスを提供中です。記事中でも触れた、GA4の3rd Party Cookieに依らない広告施策環境の構築(近日、詳細記事掲載予定 )から、適切に1st Party Dataを取得するためのデータプライバシーコンサルティングまで、それぞれのフェーズに合わせた支援サービスを提供しております。

本記事の内容や支援サービスの詳細に関するご質問などございましたら、ぜひお気軽にお声がけくださいませ。

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イー・エージェンシーは、「Google マーケティング プラットフォーム(GMP)」の認定セールスパートナー、「Google クラウド プラットフォーム(GCP)」の認定パートナーです。
また弊社はGoogleより2021年上半期における Google アナリティクス 4 プロパティ(GA4)の数多くの導入支援実績を評価され、認定セールスパートナーとしてアワードを受賞しております。
これまでの豊富な実績を元に、GA4導入・移行をお客様のビジネスに寄り添い支援させていただきます。

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