導入するハードルは高い? だからこそ他社に“差”をつけられる「サーバーサイドGTM」|ゼロから分かる1st Party Data活用【シリーズ第4弾】

年々強化されていくSafariのITPや、Chromeの3rd Party Cookie規制など、逆風厳しいデジタルマーケティングの世界。これからの企業には、プライバシー保護のための新たなルールをしっかり尊重しながらサイト分析や広告配信の精度を高めていくことが求められています。本記事では、そうした中、新たな取り組みとして話題になっている Google タグマネージャーのサーバーコンテナ(以後、サーバーサイドGTM)について、その基礎知識を解説。実際に多くの企業のサーバーサイドGTM導入を支援してきたイー・エージェンシーの目から見たメリットとデメリットを紹介します。

※本記事の情報は2024年6月時点のものです。
 最新の情報につきましては、お気軽にイー・エージェンシーまでお問い合わせください。

サーバーサイドGTMとは

昨今、デジタルマーケティング界隈で話題の「サーバーサイドGTM(sGTMと略されることも)」とは、タグマネージャーのコンテナの種類のひとつで、ユーザーのフロントエンドで動作するタグマネージャーコンテナとは異なり、自社サブドメインのサーバーに設置できるタグマネージャーコンテナのことです。サーバーサイドGTMを導入することで、近年加速しているプライバシー保護の流れに逆らうことなく、分断されて困っていたユーザージャーニーを継続して分析することができるようになると期待されています。

なお、サーバーサイドGTMは、あくまでGoogle タグ マネージャーの機能のひとつ(サーバー用コンテナ)という位置付けで、Google タグ マネージャーの新バージョンや派生バージョンというわけではありません。サーバーサイドGTMという呼び方もいつの間にか国内で定着したものに過ぎず、Googleの正式な呼称でないことには注意してください。

3rd Party Cookie 1st Party Cookie
広告経由でセットされた
1st Party Cookie
(パラメータ付与)
Webサーバーから発行する
1st Party Cookie
利用不可 24時間保持 ITPによる制限は受けない
(保持期間は設定による)

ここまでの厳しい規制はChromeではまだ行われていませんが、国内モバイルブラウザシェアの過半数をiOSプラットフォーム内のブラウザが占める以上、この影響を無視することはできません。ユーザーの長期間にわたる行動や、検討期間の長い商材における新規ユーザーの流入元分析やコンバージョンに対するアトリビューション分析を行うことが困難になってきています。そうした中で生まれてきたのが、Google タグマネージャーのコンテナをサーバーに置き、ITPの規制を受けない「Webサーバーで発行される1st Party Cookie」を用いてサイト解析や広告配信・効果測定を行うことができる「サーバーサイドGTM」なのです。

ただし、このサーバーサイドGTMに対しても規制の動きは始まっており、2023年4月にリリースされたSafari 16.4以降、「WebサイトのサーバーとCookieを保存するサーバーのIPアドレスが異なる場合、1st Party Cookieであっても保持期間が最大7日間」となってしまいました。そのため、サーバーサイドGTMの恩恵をフルに引き出すためには、WebサイトのサーバーとサーバーサイドGTMを配置する(Cookieを付与する)サーバーのIPアドレスを同一にする必要があることに注意してください。

現状、このIPアドレスを同一にする対策「リバースプロキシによりGoogle アナリティクス計測用リクエストを、タグの処理を行うサーバーへ転送する」を用いることで、1st Party Cookieの有効期限をサイト計測の場合で最大400日、広告配信の場合で最大90日まで延長できることを確認できています。

サーバーサイドGTMの仕組み

サーバーサイドGTM登場以前はクライアントサイドからGoogleプロダクトのタグを、Google社のドメインから呼び出していました。これに対してサーバーサイドGTMではタグを自社のドメインから読み込めるようになります。また、アクセス解析や広告関連の通信を自社ドメイン内で完結させられるため、よりセキュアな環境を構築できるメリットも生まれます。しかも、その通信内でCookieを保存させることができる(サーバーからのCookie読み書きに該当)ため、ITPの1st Party Cookieの保存期間の問題(7日間)を回避させ、保存期間を延長させることが可能となります。

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サーバーサイドGTMのメリットとデメリット

サーバーサイドGTMのメリットは、ITP規制下においても長期的なユーザーアクティビティを計測することが行えることだけではありません。Googleプロダクトの場合は、GA4のデータ送信をもとにして、Google 広告のコンバージョンリンカータグや、コンバージョンタグ、リマーケティングのタグをGoogle 広告のサーバーに送信できるため、タグマネージャーのWebコンテナで設定しているGoogle 広告のタグをフロントエンドから、サーバー側の処理に変更することができます。それにより、ユーザーのWebブラウザ上で読み込むタグを減らすことができ、サイト表示速度の向上が期待できます。

また、サーバーサイドGTMの導入には、自社ドメインのサーバーにデータを送ることに加えて、さまざまな周辺機能の開発が必要となりますが、サーバー側で送られるデータのクリーニングを行うことでセキュリティレベルの向上も期待できるなど、デジタルマーケティング観点以外にも大きなメリットがあります。ユーザー体験を向上するという観点からもサーバーサイドGTMには導入する価値があると言えそうです。

一方、注意すべき点もあります。まず、サーバーサイドGTMを利用するためには、Google Cloud上に専用のサーバーを立てる、または自社で別途サーバーを用意する必要があります。また、先に紹介したSafari 16.4への対策からIPアドレスを同一化するためのシステム構築も必要になります。もちろん、Google Cloudは有償のサービスですので、リクエスト量に応じて運用コストもかかります。

これら費用面のコストに加え、突然の規制強化などの技術動向に目を光らせ、追いかけ続ける学習面のコストも大きな負担となるでしょう。専門知識をもったエンジニア不在ではサーバーサイドGTMの導入・運用は現実的ではありません。

サーバーサイドGTM導入はイー・エージェンシーにおまかせください

いかがでしたか?
サーバーサイドGTMを導入したい、でも自社だけで導入するのは難しそうだと考えている企業のご担当者に向け、イー・エージェンシーではサーバーサイドGTM導入検討から、実際の環境構築、運用のお手伝いなど支援サービスを提供中です。

本記事の内容や支援サービスの詳細に関するご質問などございましたら、ぜひお気軽にお声がけくださいませ。

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この記事を書いた人
マーケティングチーム

GMP プレミアムサロンの企画運営担当
GMP プレミアムサロンを企画運営するマーケティング担当者で構成されています。Googleの最新情報の発信やウェビナー運営、動画・ダウンロード資料制作などマーケティング全般を手広く手掛ける縁の下の力持ち。
マーケティングのみならず、デザインやライティングに強いメンバーが集まった、陽気なチームです。
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