3rd Party Cookie規制後も「これまで通り」の広告配信を行うための環境作り|ゼロから分かる1st Party Data活用【シリーズ第2弾】

前回の記事ではすでに始まっている各Webブラウザの3rd Party Cookie規制が企業のデジタルマーケティングにどのような影響を及ぼすかについて解説しました。続く連載第2回では、広告配信全般における3rd Party Cookie規制後の対策を俯瞰して紹介。その後の環境作りについて解説します。

※本記事の情報は2024年6月時点のものです。
 最新の情報につきましては、お気軽にイー・エージェンシーまでお問い合わせください。
※2024年7月22日にGoogle社が、ChromeブラウザにおけるサードパーティーCookieの廃止を
 撤回することを発表しました。

3rd Party Cookie規制はもう始まっている

3rd Party Cookie規制後の広告施策環境に求められるのは、広告配信のターゲティング精度向上(回復)と、広告効果測定の精度向上の大きく2点です。どちらもこれまで3rd Party Cookieに頼った手法が用いられていたのですが、すでに解説したよう、Safariではアップルが推進するプライバシー保護機能「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」のもとすでに利用不可になっており、現時点ではまだ利用可能なChromeでも2025年早期に完全廃止される見込みです。そのため「これまで通り」の広告配信を行いたいのであれば、早急に対策を立てる必要があります。

  対策 期待される成果
広告配信
(ターゲティング)
1st Party Dataで代替 カスタマーマッチ
メールアドレス等の1st Party Dataと媒体の保有するデータを照合して広告配信
個人情報をベースにした
オーディエンリスト作成・配信
(ターゲティング/類似/除外)
キャンペーンの最適化 コンバージョン値による最適化
コンバージョン値を媒体にインポートしキャンペーンを最適化
広告媒体で計測されるコンバージョン数が増加し学習が最適化される
広告
効果測定
1st Party Dataで補完 拡張コンバージョン
メールアドレス等の1st Party DataとGoogleの保有するデータを照合することで、コンバージョン計測の精度を向上
広告キャンペーンの学習最適化
コンバージョンAPI
メールアドレス等の1st Party Dataと媒体の保有するデータを照合することで、コンバージョン計測の精度を向上
1st Party Cookieで測定 サイトワイドタグ
3rd Party Cookieを1st Party Cookieに変換し、コンバージョンを測定
(24時間以内)

サーバーサイドGTM
サーバーからコンバージョンを送信して測定
(広告で最大90日間/サイトで最大400日間)
広告コンバージョンおよびサイトのCookie保持期間の延長

本記事では、これら想定される対策の中から、1st Party Dataを用いるものとして「カスタマーマッチ」と「拡張コンバージョン(コンバージョンAPI)」を、さらにGA4や実店舗でのコンバージョンを広告媒体へインポートすることによる学習最適化手法についても紹介します。サーバー発行の1st Party Cookie(Google タグ マネージャーのサーバーコンテナ)を利用する手法については第3回(近日公開予定)をご覧ください。

「カスタマーマッチ」によるターゲティングについて

「カスタマーマッチ」とは、企業(広告主)側が保有しているメールアドレスや電話番号などの1st Party Dataと、広告媒体(例:Google、Yahoo!、Facebook、Instagram等)側に登録されているメールアドレスや電話番号などのデータを突合することで、Cookieに依存しないかたちのターゲティングを実現する手法のことです。広告媒体プラットフォームに対して個人情報となるメールアドレスなどを共有した顧客あるいは類似した潜在顧客への広告配信が可能になります。

<デバイスを越え5つ䛾プラットフォームで顧客にリーチが可能>
Google Search、DisPlay、Shopping、Youtube、Gmail
<連携に必要なデータ>
Email アドレス、デバイス ID、住所、電話番号

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なお、カスタマーマッチによるターゲティングを行うためには、企業側が保有する1st Party DataをGoogleなどの広告媒体プラットフォーム側に提供する必要があります。この際、注意せねばならないのが、たとえハッシュ化などの手法で個人を識別できない状態に加工されたデータでも、第三者への提供には原則として提供元の同意が必要です。個人情報の取り扱いには「第三者への提供が利用目的の範囲内であること」が前提となっているため、まだ、広告利用に関する第三社提供に関して明確な同意を得ていない場合には広告媒体プラットフォーマーへの共有に対する個人情報の提供の目的と内容を明示したうえで同意取得が必要となります。

「拡張コンバージョン」によるコンバージョン計測について

こちらも企業(広告主)側のデータ(1st Party Data)と、広告媒体(例:Google)のもつデータを突合し、コンバージョンのカウント精度を上げていくという手法です。広告媒体各社がそのためのAPIを提供しており、企業(広告主)は、自社データをハッシュ化した上で安全にアップロードできます。

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カスタマーマッチ同様、1st Party Dataを広告媒体と共有する必要があるため、個人情報の第三者提供に関する適切な同意取得が必要です。

コンバージョンのインポートによる広告配信の最適化

コンバージョンのインポートとは、自社サイトで発生したコンバージョンや、実店舗売などWebサイト外で発生した来店や購入などオフラインのコンバージョンを、広告管理ツールにインポートすることです。これによって以下の2つの広告配信最適化が実現できます。
1つは、自社サイトのコンバージョンをインポートし、広告配信の学習に活用するというものです。

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たとえばGoogle 広告の場合、Google 広告由来のコンバージョンと計測されていても、実際には広告の後に検索広告やアフィリエイトサイトからの流入である場合も考えられます。一方、Googleアナリティクスはクロスチャネル(複数の流入元を計測)で流入元を計測しているため、コンバージョンに対する広告の貢献度合いをより正確に計測することが可能になります。

もう1つは、実店舗売り上げなどオフラインのコンバージョンを連携させることで、広告配信の最適化を図るというものです。

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店舗での売上にオンラインでのデジタル施策が何らかのかたちで貢献・影響していると言われる中、店舗(オフライン)の収益をコンバージョンとして計測し、オフライン収益のアトリビューションと広告予算最適化、オフライン収益を含めたサイト内行動の最適化を行うことは今後ますます重要になっていくでしょう。

これからの時代のための広告施策環境を構築に向けて

いかがでしたか?
3rd Party Cookie規制が加速する中、これまでと変わらぬ広告配信を行うには、広告媒体を問わず、新たな広告施策環境の構築が必須です。イー・エージェンシーでは、1st Party Dataや各広告媒体の提案する最新機能などを活用した、これからの時代のための広告施策環境構築の支援サービスおよび、適切に1st Party Dataを取得するためのデータプライバシーコンサルティングサービスを提供しております。

本記事の内容や支援サービスの詳細に関するご質問などございましたら、ぜひお気軽にお声がけくださいませ。

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この記事を書いた人
マーケティングチーム

GMP プレミアムサロンの企画運営担当
GMP プレミアムサロンを企画運営するマーケティング担当者で構成されています。Googleの最新情報の発信やウェビナー運営、動画・ダウンロード資料制作などマーケティング全般を手広く手掛ける縁の下の力持ち。
マーケティングのみならず、デザインやライティングに強いメンバーが集まった、陽気なチームです。
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