Googleでも紹介 産経デジタル様 データ活用成功事例 データ主導の意思決定で収益性を向上

データ主導の意思決定による収益向上の成功事例として日米のGoogleでも紹介

株式会社産経デジタル様による、データ主導の意思決定の強化と収益向上をめざす取り組みが、メディアにおけるデータ活用の成功事例として、日米のGoogleでも紹介されました。

産経デジタル様における、データ主導の意思決定の強化と収益向上をめざす取り組みが、メディアによるデータ活用の成功事例として、日米のGoogleでも紹介

 

Sankei Digital enabled data-driven decision making to assess website engagement, user consumption, and pave the path to subscriptions

Success Stories (Case Studies) – Google News Initiative
GNI_Japan_Sankei-Digital.pdf

産経デジタルとの取り組みでは、日々のダッシュボードの活用や A/B テストの実施などのデータ主導による意思決定を実現することで、収益性の向上につながることがわかりました。

Google Japan Blog
Google ニュースイニシアティブのグローバルレポートと日本での歩み

では、今回の産経デジタル様の取り組みについて、上記のPDF(英語)の内容に沿って、具体的にご紹介しましょう。

産経デジタル様によるNCI(News Consumer Insight)をベースとしたウェブサイト・パフォーマンス ダッシュボードと有料会員獲得のためのA/Bテストプロジェクト

The Goals(目的)

● 広告収益と有料会員収益の最適配分を見つけ、収益全体を向上させる。

● 収益とサイトパフォーマンスをダッシュボードで可視化し、組織のデータ利用を効率化する。

The Approach(施策)

● Assessment(診断・評価)
現状のデジタルマーケティング成熟度を評価し、段階的に引き上げる手法を選択。

● Implement(実装)
Google アナリティクスのカスタムディメンション、イベントを利用した詳細な記事データの計測。

● Dashboard(ダッシュボード)
Google データポータルを使って、収益可視化・記事パフォーマンス評価ができるダッシュボードを構築。

● A/B Test(A/Bテスト)
Google オプティマイズを使って、有料会員獲得(サブスクリプション)増加に向けたUI改善を実施。

The Results(成果)

● ユーザー属性、集客、広告収益、カテゴリ・テーマ別の記事パフォーマンスを手軽に確認できるダッシュボードの構築。

● A/Bテストにより、有料会員登録のコンバージョン率がセッションベースで150%、ユーザーベースで216%高いテストパターンの発見。

変革が求められる、日本の新聞業界

日本における新聞業界は世界的な趨勢と同じく、インターネットの普及や読者の高齢化、新興メディアの台頭により、読者の減少に直面しています。日本の新聞社らが組織する日本新聞協会のデータによると、発行部数は2009年の6508万部から2019年の4623万部へ10年間で30%減少し、それに伴い、新聞社の売上高は2008年度の2兆1400億円から2018年度の1兆6600億円へと20%以上減少と、事業の変革が求められている状況です。(出典:日本新聞協会)

産経デジタル様が運営する「産経ニュース」の母体となる「産経新聞」は、1933年に創刊された歴史あるニュースメディアで、日本の大手日刊紙として幅広い読者に親しまれています。2005年に設立された産経デジタル様は、2006年にニュースサイト「イザ!」のサービスを開始。2014年には「MSN産経ニュース」から「産経ニュース」にリニューアルを実施し、根強いファンに支持されています。

会員獲得とペイウォール記事のジレンマを抱える産経デジタル様

近年、会員向けの独自記事の配信に注力し、有料のサブスクリプションビジネスの拡大を狙う産経デジタル様は、会員獲得数の向上とペイウォール記事とのバランスに悩みを抱えていました。ペイウォール記事を増やすことで、良質なコンテンツを求める会員が増加する可能性があるが、ページビューが減少することで広告収益が減少するリスクがあるからです。反対に、広告収益を増やすためにオープン記事を拡大すると、サブスクリプション登録をしなくてもコンテンツにアクセスできるため、有料会員が減少する可能性があり、メディアサイトとしてのジレンマを感じていました。

「プロジェクト前の課題としては会員増加の鈍化でした。その原因が記事にあるのか、タイトルにあるのか、そもそも有料記事の存在に気づかないのかなど、何が一番のボトルネックなのかが特定できませんでした。検証するにしてもどの方法が最適かも判断できず、施策を行うことがなかなかできない状況でした。」
ーー産経デジタル Webソリューション部 部長 宮本博史氏

News Consumer Insight(NCI)をベースとして、デジタルマーケティングを発展させる

そこでGoogle アナリティクス 360の公認リセラーであるイー・エージェンシーは、産経デジタル様の取り組みに対し、NCIによる購読者分析を実施。データポータルを使って、カジュアルリーダー(新規ユーザー)、ロイヤルリーダー(リピートユーザー)、ブランドラバー(1カ月に複数回訪問しているユーザー)の3カテゴリに分けてユーザーの行動と収益を分析できるダッシュボードを提供し、ロイヤルユーザーが高い広告収益を生み出していることや、スマートフォンユーザーが多い中で、新規の購読者はデスクトップユーザーが多いことなど、注目すべき差異が見られました。

イー・エージェンシーは、5段階に分けたデジタルマーケティングの成熟度モデルを提示し、産経デジタル様のデータ活用度を段階的に引き上げるプロセスを提示。第1段階として、記事のパフォーマンスを測るカスタムディメンションなどの追加設定や、広告収益データとGoogle アナリティクスの連携などの基盤構築を行い、第2段階ではデータポータルを使って「データの見える化」を実現するサイトパフォーマンスダッシュボードの作成、有料会員の登録率を向上させるためのA/Bテストを並行して取り組むことにしました。

データビジュアライズとA/Bテストがもたらしたものと、成功要因

10数ページで構成されるウェブサイト・パフォーマンス ダッシュボードは、NCIをベースにしており、会員種類別・カテゴリ別・参照元別などの収益や、長期に渡って価値を生む記事など、コンテンツの収益貢献度がビジュアライズされています。データ集計の手間が大幅に削減され 、記事を評価しやすくなり、分析業務に集中できるようになりました。また、会員獲得の貢献度も担当者が分析しやすくなり、露出量を増やすなどのコンテンツ戦略に活かせるデータが手軽に得られるようになりました。

さまざまな切り口で分析可能なウェブサイト・パフォーマンス ダッシュボード
さまざまな切り口で分析可能なウェブサイト・パフォーマンス ダッシュボード

A/Bテストでは、UIの変更によって会員登録フォームの訪問が増えるように、記事ページや会員向けのページ、有料プランの案内ページなどでのテストプランを、複数作成・実装しました。イー・エージェンシーはGoogle オプティマイズでレポートされるパターン毎の優位性評価に留まらず、Google アナリティクスを使って、パターン毎の行動分析(クリック、ページ遷移、目標プロセスの開始など)も行いました。オリジナルが良いものもあれば、パターンが良いものも見られ、小さなリンク1つでも、コンバージョンに影響を与えていることが判明しました。

成果が出たテスト例を紹介すると、オープン記事に有料記事への導線を付けることで、コンバージョン率がデスクトップでオリジナル比150%、モバイルでオリジナル比175%という結果が出ました。テストが実行されたセッションでの評価に加え、テスト接触後の訪問でのコンバージョンをアシスト効果として分析すると、コンバージョン率はオリジナル比216%となり、パターンへの接触がコンバージョンに大きな影響を与えたことが分かりました。イー・エージェンシーの仮説では、「オープン記事を閲覧する読者の多くは、会員限定記事の存在を知らない。会員限定記事の存在をアピールすることで興味喚起し、良質なコンテンツを読みたい一定数が、会員登録に結びついた」と考えています。

Google オプティマイズの実際のレポート(本文の事例とは異なるテストの結果です。)
Google オプティマイズの実際のレポート(本文の事例とは異なるテストの結果です。)

今回のプロジェクト推進にあたって、産経デジタル様は、マーケティング、広告企画、広告営業、CRM、編集、情報システムなどの各部署からメンバーをアサインし、横断的なチームを構成。意思決定を速めながら、プロジェクトから得られる知見を各部署で蓄積できる体制を整えることができたことも、大きな成功要因となりました。

「プロジェクトでは、期間中に具体的数値の効果は薄かったものの、スマートフォンに誘導枠を追加することで、広告に影響なく流入を得ることができました。また、ツールを使って簡易的にテストや分析ができたことが成果だと感じております。今後は今回の件を踏まえて、様々な施策を実施し会員獲得向上につなげていきたいと思います。」
ーー産経デジタル Webソリューション部 部長 宮本博史氏

更なるデジタル活用段階へ歩みを進める産経デジタル様

現在のシステムインフラで可能な範囲で、データ基盤を整えることができましたが、短期間では実現できなかった課題がいくつか残りました。CRMデータベースとデータポータルを連携して、会員数や会員ステータスをタイムリーに表示することや、Google アナリティクスの行動データと組み合わせて分析することなどです。

A/Bテストにおいても、実行できなかったテストプランがありました。今後はよりパーソナライズされたテストを実施できないか、どのページでテストをすれば効率的かなど、検討を進めています。

産経デジタル様では更なるデジタル推進を見込み、CMSの刷新プロジェクトを進めています。今回のプロジェクト経験を生かして、更なるデジタル活用段階へステップアップしていきたいと考えています。コンサルティングを行ったイー・エージェンシーとしても、伝統的な新聞メディアである産経デジタル様の読者をターゲットに、分析基盤構築やA/Bテストが実施できたことは貴重な経験でした。産経デジタル様の更なる収益向上に貢献すべく、今後も新たな取り組みを提案していきます。


今回の産経デジタル様の取り組みでは、Google アナリティクス 360を計測基盤として、Google データポータルおよびGoogle オプティマイズを活用しています。これらのツールについて、イー・エージェンシーでは、単に販売や使い方のサポートにとどまらず、導入するための考え方や設計・構築・運用のコンサルティング、アウトソース、インハウス化まで、データ主導の意思決定が実現できる体制づくりをサポートいたします。ご興味をお持ちになった方は、下記よりぜひお気軽にお声掛けください。

● データ分析において高い拡張性を備えたエンタープライズ版のマーケティングツール
Google アナリティクス 360導入・活用支援サービス

● 様々な種類のデータソースを一目瞭然に可視化し、分析と情報共有、意思決定のプロセスを一新する無料のダッシュボードツール
Google データポータル導入・活用支援サービス

● 直感的な操作で素早くテストパターンを制作でき、パーソナライズにも最適なA/Bテストツール
Google オプティマイズ 360導入・活用支援サービス


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この記事を書いた人
村松

マーケティングプランナー