パナソニック様 Looker Studio導入・データ活用事例 データに基づいて議論できるデジタルマーケティング集団へ

日本を代表するグローバル企業として、家電製品、車載エレクトロニクス、住宅設備、電子部品、エネルギー関連製品など、多岐にわたる製品・サービスを提供しているパナソニックグループ。同グループは2022年4月より「幸せの、チカラに。」という新たなブランドスローガンを掲げ、より顧客に寄り添った事業展開を推進し始めています。そうした中、コンシューマー向け家電事業を担当するパナソニック株式会社では、海外マーケティングにおいてLooker Studioを効果的に活用。その取り組みについて、日本市場を除くグローバル全地域に向けた自社情報サイト(2022年は約60地域で展開)の     基盤運営を担当する同社海外マーケティング本部CXマーケティングセンターデジタルマーケティング部の芝野様、北垣様にお話を伺いました。

パナソニック株式会社
海外マーケティング本部
CXマーケティングセンター
デジタルマーケティング部プラットフォーム課     
芝野 大樹  様(写真左)

パナソニック株式会社
海外マーケティング本部
CXマーケティングセンター
デジタルマーケティング部プラットフォーム課
北垣 将臣 様(写真右)

3つのステップで社内データ活用を推進

まずはパナソニック様がデータ活用をどのように進めてきたのかをお聞かせください。

芝野様:私たちはWebサイトの運営をしておりますので、Webサイトで得たデータをこれまでどのように活用してきたのかを3つのステップで説明させてください。

まず2018年ごろに始まった第1ステップではWebサイト基盤を運営している我々が、その状況をレポートするためのダッシュボードをLooker Studio(当時の名称はGoogle データスタジオ)で作りました。ただしこのときはPowerPointで作った紙のレポートをダッシュボードに置き換えただけで、組織のDXという点ではあまり大きな影響力はなかったというふうに認識しております。

対してその1年後、2019年ごろから始めた第2ステップでは大きく社内のDXが進みました。サイトのトラフィックを見える化したダッシュボードを海外マーケティング本部メンバーに展開して、マーケターがデジタルなPDCAを回していけるようにしたのです。

具体的には、そのコンテンツがユーザーに刺さったのかを確認できるダッシュボートを作り、広告流入がコンバージョンにつながっているかを確認できるようにして、LP(ランディングページ)の改善および、媒体やユーザーセグメントの最適化ができるように進めてきました。

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芝野様:そして最後、現在進行形の第3ステップでは、これまで使っていたWebサイトのデータとGoogle アナリティクス(以下GA)のデータに、さまざまなデータを掛け合わせて分析することで、より高精度なPDCAを回していけるようにすることを目指しています。

例えばアプリで得たデータと掛け合わせて活用しているような事例が挙げられます。今、海外展開している洗濯機、冷蔵庫にはより便利に使うためのスマートフォンアプリを提供しているのですが、購入前のWebサイトチェックから、購入後のアプリ詳細ページへのアクセス、そこからアプリストアへ行って、ダウンロードして、アプリの中で機器登録をするまでの長いカスタマージャーニーにおいて、さまざまなデータを取得できます。そうしたデータを統合し、今のカスタマージャーニーの中でマイルストーンごとのKPIを把握することに役立てているのです。

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グローバルでも滞りなく導入、活用できるのがLooker Studioの魅力

パナソニック様がLooker Studioを導入した背景についてお聞かせください。

芝野様:Looker Studioを使い始めたのは先ほどお話しした第1ステップの時からで、当時の目的は社内レポーティングへの活用だったのですが、実はその時点でマーケターのPDCAに役立てていくことを念頭に置いておりました。

そうした思いがあったため、BIツールの選定においても我々国内マーケティングメンバーだけでなく、海外で一緒にマーケティングをしてくれているメンバーがストレスなく、タイムリーに使えるという観点で比較・検討しました。

中でも最も重視したのが、ライセンス管理のしやすさです。その点、Looker StudioGoogleアカウントを作りさえすれば、どの国の人でもその瞬間から滞りなく使い始めることができ、そこに大きな魅力を感じました。

Looker Studio導入のパートナーとしてイー・エージェンシーを選んだのはなぜですか?

芝野様:Looker Studio導入時、PowerPointからの効率的な移行を助けていただけそうなパートナーを探し、何社かにお声がけしました。その中で最も“刺さる”提案をしてくださったのがイー・エージェンシーだったのです。

Looker Studioのことを熟知し、テクニカルな部分をきちんとサポートしてくださるのは当然として、我々が取り組んでいるビジネスの文脈を適切に汲み取り、それに基づいた提案をしてくださったことが最終的な選定理由になりました。

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イー・エージェンシーのサポートは利用者目線での支援が心強かった

Looker Studio導入に際し、イー・エージェンシーはどのような支援を受けられましたか?

北垣様:各種ダッシュボードの構築支援と、ダッシュボードを用いた分析支援、また、組織における分析定着化のための啓蒙活動などを行っていただきました。

ダッシュボートの構築については、現場で使いやすいものを実現いただけました。ダッシュボードの活用シーン     をきちんと設定したうえでシーンごとに最適なダッシュボートを作りこむという流れが非常に良かったと感じております。

その上で、ダッシュボードを使ってどのように分析していくのかを手取り足取り、大きく踏み込んで教えていただけたのがありがたかったですね。実際、いざダッシュボードを与えられても、これをどうマーケティング活動に役立てていくのかは誰しも戸惑うところです。この際、ツールの作成者=エンジニア目線ではなく、利用者目線でさまざまなアドバイスをいただけたことがとても心強く、頼りになりました。

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Looker Studio導入によって、「デジタルマーケター」が続々と育ち始めている

イー・エージェンシーの支援は、結果としてどのような成果に結びつきましたか?

北垣様:最も大きな成果は、広告流入後の直帰率の改善です。イー・エージェンシーに支援していただくまでは、広告経由でWebサイトにアクセスしてくださったお客さまの直帰率が90%を超えていたことが問題になっていたのですが、Looker Studioを導入していく取り組みの中で、ページがどこまで読まれているのかなどを分析し、それを自らPDCAを回して改善していけるようになった結果、現在ではコンスタントに80%前半にまで直帰率を抑えることができるようになりました。

また、直近では、自社Webサイトのトラフィックに加え、広告データなどの外部データと結びつけた分析にも挑戦しています。従来はそれぞれのデータを個別に分析していたため、広告側の議論はいかにターゲティングを適正化して、クリック率を向上させるかということに終始しがちでした。これは集客面ではもちろん大切なことですが、一方で「より多くのお客様に購入(EC遷移)いただくために何をするべきか」という視点にまで議論を結びつけられない課題がありました。

そうした中、広告側のデータとWebサイト側のデータを横並びにして「見える化」することで、「クリックしたお客さまが、本当に買ってくれているのか」を確認することができるようになりました。これによって、例えば「クリック率は低いけれどコンバージョン率の高い広告がある」ことなどが判明。そこから、お客様により興味を持って購入していただける広告は何かというところに注目してターゲティングを実施できるようになりました。

芝野様:あくまで個人的な思いなのですが、Looker Studioを導入することで、社員全員を「デジタルマーケティング集団にしてやろう」という野望があります(笑)。私の考える「デジタルマーケター」とは、お客さまのことを考え、Web施策だけでなく、全ての顧客接点に施策を打っていける人のこと。デジタル広告の領域においては、Webサイトのトラフィックだけでなく、サイトに来る前からサイトに来た後までのカスタマージャーニー全体を捉えて施策の善し悪しを議論できることが重要です。私はLooker Studioを活用していく中で、皆がこれをきちんとできるようになってほしいと考えています。

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その“野望”は実現できそうですか?

芝野様:今現在、Looker Studioのマンスリーアクティブユーザーは200名になっています。これは海外マーケティング組織の実務に携わっているメンバーのほぼ全員が毎月一度はダッシュボードにアクセスしているという数字です。それだけでも私は、海外マーケティング組織のメンバーのほとんどが「デジタルマーケター」になっているのではないかと感じています。

また、Looker Studio導入によって社内の空気感が大きく変わりました。具体的には会話に出てくる言葉が変わりましたね。以前なら「広告施策を実施しました」で終わっていたところが、Looker Studioによって数字が見えるようになったことで、「どれくらいのコンバージョンがあったの?」「直帰率はどうだったの?」「改善ポイントはどうする?」といった会話が普通に繰り広げられるようになったのです。Looker Studioの導入には組織の風土、文化を変えるほどのインパクトがあったということですね。

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さらに顧客接点を深め、ブランドのエンゲージメントを高めていきたい

パナソニック様の、今後の取り組みについてお聞かせください。

北垣様:今後のマーケティング方針において、購入後のお客さまと繋がり続けることを第一の目標としております。これまでのWebサイトでは、いかに製品に興味を持っていただき、ご購入いただくかという点に焦点が当てられていましたが、これからは商品をご購入いただいた後も繋がり続けることで、お客さまへ総合的にワクワク感や楽しさをお届けし、ブランドのエンゲージメントを高めていきたいですね。

そしてそのためには計測していく対象もWebサイトだけではなくSNSなどにも広げていく必要があるでしょう。今後は、360度の顧客視点データを取っていくことが求められていくと考えています。そうしてお客さまとの接点が増えていく中、どのようにデータを集め、お客さまとどう向き合ってくか、イー・エージェンシーと一緒に考えていければと思っています。

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そうした中でイー・エージェンシーに期待することはございますか?

芝野様:これまで以上に我々にしっかり寄り添っていただき、パナソニックが置かれている状況であったり、ビジネスの文脈を理解していただいたりする中で、Looker Studioのさらなる使いこなしや、データ活用にまつわる提案などをいただけることに期待しています。

北垣様:私のようなエンジニア寄りの人間はともかく、実際にLooker Studioを用いている現場のマーケティングメンバーにはまだまだ分からないことが多いというのが正直なところです。今後、活用が促進されていく中で、それがさらに顕在化されていくでしょう。イー・エージェンシーの皆さんには、そうした点をこれまで以上にサポートしていただきたいですね。

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最後に、今、Looker Studio導入を検討されているお客さまへのメッセージをお願いします。

芝野様:どこの企業においても、ダッシュボードを作るのはデータドリブン経営を推進するためだと思うのですが、どう作ればうまく使えるのか、どのような見せ方が最適なのか、ダッシュボード構築時に考えなければならないことは少なくありません。

また、ダッシュボードを作るだけならば3ヶ月もあれば十分なのですが、本当に大切なのは、それが組織のカルチャーとして根付くかどうか。そのためには継続的な取り組みが大切になりますので、私たちのように3つのステップを踏んで定着させていくといった取り組みをお勧めします。それを独力で実現するのが難しいなと感じた際は、なるべく早い段階でイー・エージェンシーのような適切なパートナーを見つけていただくのが良いのではないでしょうか。

ラスト

 

イー・エージェンシーは「Google マーケティング プラットフォーム(GMP)」、「Google Cloud(Google Cloud Platform / GCP)」の認定パートナーです。

イー・エージェンシーは、これまで培ってきた豊富な知見をもとに、Google アナリティクス 4 プロパティ(GA4)の導入・運用や、Google Cloud(Google Cloud Platform/GCP)によるデータ統合、広告連携、アトリビューション分析、広告やメール、顧客へのアプローチ施策の効果改善、Looker Studioを活用したダッシュボード製作など、データ活用全般を支援しております。

まずは、お気軽にサービス資料請求、またはお問い合わせください。
みなさまのデータ活用をご支援させていただきます。

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この記事を書いた人
神崎 恵

マーケティングプランナー 新卒でイー・エージェンシーに入社。 デザイナー兼マーケティングプランナーとして活動しています。ウェビナーやトレーニング動画の編集にも従事。