SBI様 GA4導入・データ活用事例 GAを用いたデジタルマーケティング基盤がグループ全体の成長を下支え

インターネットを活用した金融サービス事業を中心に、投資事業や資産運用事業、暗号資産関連事業、非金融事業など、幅広く事業を展開するSBIグループ。そのヘッドクォーターであるSBIホールディングス株式会社様は、早い時期からデジタルマーケティングの重要性に気づき、推進してきました。ここでは、その取り組みを担ってきた同社社長室ビッグデータ担当の皆さまに、SBIグループにおけるGA活用とその成果について伺いました。

SBIホールディングス株式会社
社長室ビッグデータ担当
次長 佐藤 市雄様(写真左) 

SBIホールディングス株式会社
社長室ビッグデータ担当
データサイエンティスト 鍋倉 由樹様(写真中央) 

SBIホールディングス株式会社
社長室ビッグデータ担当
マネジャー 風間 吉見様(写真右)

グループ横断でシナジーを発揮させるSBIホールディングス様の「組織」作り

まずはSBIホールディングス様がデータ分析・活用のためにどのような組織作りを行っているのかをお話しください。

佐藤様:SBIグループ各社には、グループ全体で数千万にもおよぶ多くのお客さまに最適なサービスを提供することが求められております。そしてそのためには、グループ横断でそれぞれの事業がシナジーを発揮していかねばなりません。

2012年に私が発起人となって立ち上げた「ビッグデータ室」(現社長室ビッグデータ担当)は、さらなるデータの利活用を目的としたCoE(Center of Excellence:特定の目的に向け、組織に点在する優秀な人材を集約させた部署)組織です。社長直轄組織とすることで、ビッグデータの分析やAI活用を経営の意志決定に直接反映できるようにしました。当時、国内の金融機関でこうした取り組みを行っていたところはほとんどなかったのではないでしょうか。

また、その上で事業会社各々にも「ビッグデータ担当」を配置。直近では、それをさらに事業会社内部のCoE組織へと発展させ、彼ら自身が自走的に物事を進めていけるような体制強化を行っています。

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そうした組織を効率的に稼働させていていくための仕組み作りについても教えていただけますか?

佐藤様:SBIグループには非常に多くの企業が存在しており、主要なものを挙げるだけでも100社をゆうに超えております。そのため、全体最適を確実に行った上で、それぞれの事業で確実に成果を出していくための個別最適化についても戦略的に取り組んでいく必要がありました。

そこで、SBIホールディングス株式会社 北尾会長を始め、グループ各社の代表が出席し、グループ全体でのビッグデータ、AI活用の方針を定める「グループビッグデータ会議」を半年に1回程度実施しました。さらに、ここで決まった戦略を確実に実行するため、現場の責任者が集まり、進捗報告や細かい方針を決めていく「グループデータ活用推進会議」を毎月行っています。

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そうした中でGoogle アナリティクス(以下GA)をどのように活用されているのかをお聞かせください。

佐藤様:2012年に部署が立ち上がった当時は「ビッグデータ」という言葉がまだ世の中に広まっていなかったので、まずはビッグデータがどういうもので、それがサービスにどのように活かせるのかを多くの人たちと共有するところから始めなければなりませんでした。そのため、2013年からユニバーサルアナリティクス(以下UA)の導入を開始。翌20149月にはより高機能な有償版をグループ全体で活用すべく、当時、周囲でとても評判の良かったイー・エージェンシーさんと契約させていただきました。

有償版UA=Google アナリティクス 360(以下GA360)最大のメリットは、これまでできなかったBigQueryへのデータエクスポートに対応したこと。こうしてデータをBigQueryに集約・分析することによって、お客さまの行動が見えてきたのではないかと思います。さらにGA360にはGoogle マーケティングプラットフォームの他ツールとの連携など、お客さまが望んでいる情報を提供するための仕組みが充実しています。他社に先駆けグループ全体で実践経験を積んでいけたことが、その後のデータ活用のベースになったのではないかと考えています。 

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「スマホファースト」を掲げ、積極的にGA4導入を決意

現在、SBIホールディングス様はGAの最新版であるGoogle アナリティクス 4 プロパティ(以下GA4)を導入されています。導入に至った背景をお聞かせいただけますか?

佐藤様:GA4導入を決めた最大の要因は、当時、お客さまとの接点がWebサイトからスマートフォン、そしてスマートフォンのアプリに移りつつあり、将来的にお客さまの行動データを取得しにくくなることが予想されたからです。こうした流れを受け、我々のデジタルマーケティング方針も「スマホファースト」に転換。Google Cloudのモバイルアプリ開発プラットフォームであるFirebaseで提供されている仕組みを利用して、アプリ内での計測を実現していくことになり、20193月にイー・エージェンシーさんと共同でグループ各社に向けた説明会を実施しています。その後、202010月に正式リリースされたGA4ではFirebaseとの連携が強く打ち出されていたため、より効果的なデータ活用という観点からGA4への移行を決めました。20213月から全ての事業会社に対してFirebaseGA4の導入を推進し始め、20231月に移行を完了しています。

2024年7月1日にUA(およびUAベースのGA360)が使えなくなるから仕方なくGA4に移行するという企業も少なくないのですが、SBIホールディングス様は計画的に、前向きにGA4を導入されたということなのですね。

佐藤様:はい。デジタルの主戦場はすでにスマホのアプリや、その他のさまざまなデバイスに拡大していっていましたので、むしろ積極的に移行を推進しています。

なお、アプリ内データの蓄積自体は2019年のFirebase導入時点から開始していたため、数年分のデータを活用できる、全て整った状態で、2023年1月にスタートを切ることができました。 

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こうした移行に際し、イー・エージェンシーがどのようにお役に立てたのかも教えてください。

風間様:GA4はそれまでのUAから大きく様変わりしたこともあり、これまでできたことが、そのままではできないということが多々ありました。イー・エージェンシーさんには、そうした課題をどのように解決するのかといった勉強会をたくさん開いていただきましたね。例えば昨今は、プライバシー保護・クッキーレスの観点から年々効率的な集客が難しくなっているのですが、そうした中でもGA4で収集したオーディエンスリストを用いたターゲティング手法など、GA4を使いこなすためのさまざまなノウハウをご提供いただいています。中でも、複数保険商品を抱え、入力フォームも複雑な保険会社のGoogleタグマネージャー対応を含めたGA4への移行については、長年、一緒にGAに取り組み続けてきたイー・エージェンシーさんでなければ厳しかっただろうと評価しています。もちろん、今後もアプリデータの活用など、やるべきことはたくさんありますから、さらなるサポートに期待しています。

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GA4で広がるSBIグループのデータ利活用

現在、SBIグループで、どのようにGA4を活用されているのか、具体的な用途をお聞かせください。

風間様:集客面で言うと、お客さまがどこから来て、何件の成約があったかなどを、さまざまなキャンペーンパラメーターを用いて精緻に分析しています。標準レポートでは分析しきれない部分については、イー・エージェンシーさんの助力を受けながら、さまざまな指標を組み合わせた探索レポートを作成して、どうすれば広告運用・評価しやすいか、課題発見しやすいかを模索しているところです。

GA4にはさまざまな新機能が用意されていますが、特に役立っているもの、気に入っているものはありますか?

風間様:GA4の機能の中で個人的に面白いと感じているのが「アナリティクス インサイト」機能です。これは直近で大きく変化した指標、たとえば自然検索が急に増えたとか、その要因だとかをGAAIが教えてくれるというもので、これを見るだけでも結構な発見があると感じています。このコメントを抜粋するだけで結構なレポートができあがってしまうほどなんですよ。

鍋倉様:Webとアプリを横断で計測できるようになったことも大きな改良点だと感じています。ただし、単にアプリとWebのストリームを作るだけではだめで、きちんとユーザーIDをカスタムで取得していかねばならないことには注意が必要です。また、これを機にユーザーID取得を意識するようになり、そこにオフラインの取引データを繋げていくという発想が生まれ、アプリからオフラインまでを横断してデータ分析・活用していくきっかけにもなっています。

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デジタルマーケティング基盤の役目は事業の成長にブレーキをかけないこと

GA4導入後の手応えについてお聞かせください。

佐藤様:GA4導入前と現在とで一番大きく変わったのはSBIグループの規模そのものです。特に202112月に新生銀行(現・SBI新生銀行)を買収、連結子会社化したことにより、グループの規模はそれまでの倍ほどにまで急成長しています。

昨今、金融機関の合併や統合、それに伴う混乱が数多く報道されておりますが、SBIグループにおいては早期からGA4を用いたデジタルマーケティング基盤ができあがっていたため、統合がこれまでにないほどスムーズに進みました。一方、SBI新生銀行側もグループ各社のお客さまについてすぐに理解することができ、適切なサービスを提供できるようになっています。これはひとつ、大きな手応えだったと言えるでしょう。

 GA導入によって、SBIホールディングス様のビジネスはどのように成長しましたか?

佐藤様:デジタルマーケティング、それ自体は事業の成長を牽引していくものではありません。それよりも事業の成長をきちんと後押しすること、ブレーキをかけないことが重要です。事業が拡大しているのにデジタルマーケティングの基盤がないと、正しい分析ができず、広告出稿やお客さまとのコミュニケーションが停滞し、事業の成長にブレーキがかかってしまうからです。そういう意味では、SBIグループがわずか20年強で大きく成長できたのは、その成長をデジタルマーケティング基盤が下支えし、成長に合ったマーケティングを適切なタイミングで届けられたからではないかと考えています。

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今後さらに広くデータ分析を進めていきたい。
イー・エージェンシーとのパートナーシップにも期待

すでに一定以上の成果を上げているGA4導入ですが、今後、SBIホールディングス様がデータ分析をどのように進めていくのかをお話しいただけますか?

佐藤様:SBIグループでは、UAのころから全てのデータをBigQueryに集めてデジタルマーケティングを実施してきました。今後はここに、CRMや取引情報などのファーストパーティデータを統合し、よりお客さまを正しく理解し、適切なサービスを提供できるようにしていく予定です。

風間様:集客の観点では、これまで資料請求を何件取れた、見積が何件取れた、という中間コンバージョンを最大化していたのですが、アプリでの取引が一般的となってきた今、これからは“申し込み”を最大化するのではなく、その先にある“購買”を最大化していけるような分析環境を作っていかねばならないと強く感じています。

鍋倉様:Webの分析については長らく取り組んできたこともあってナレッジも蓄積されてきているのですが、アプリの分析についてはまだまだこれからです。今後は、アプリのエンジニアも交えてFirebaseとGA4のナレッジを共有しつつ、計測の高度化を実現していきたいです。

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そうした目標の達成に向け、イー・エージェンシーに期待する事がありましたらぜひお聞かせください。

佐藤様:イー・エージェンシーさんには本当にさまざまなサポートをしていただいており、お客さまの行動データを正しく収集して分析するといった点においてはすでに十分にサポートしていただけていると思っています。

その上で、これまではBigQueryを中心に活用していましたが、今後はGoogle Cloudのさまざまな機能をフル活用して、我々が得意とするビッグデータとAIの活用をさらに推進していきたいと考えています。さらに、それをお客さまに届けるためのサービスとして実装をしていくフェーズを一緒にやっていきたいです。

また、デジタルマーケティングについても、GA4の基盤を作って、それを現場の担当者が使ってくれるようになったから完了ということでありませんから、さらなるクラウド活用なども含め、より一層パートナーシップを強化していきたいです。よろしくお願いいたします。

最後に、GA4を使ったデジタルマーケティングを推進していこうと検討されているお客さまにメッセージをお願いします。

佐藤様:これまでお話ししたように、SBIホールディングスでは「スマホファースト」を掲げ、2019年初頭からデジタルマーケティング基盤の刷新を開始し、2023年1月のGA4有償版への移行をもって、ひとまず完成させることができました。このことから分かるように、基盤の構築にはとても長い時間がかかります。

一方、それだけ時間をかけてもやるべきことをしっかり考えて取り組まねば大きな成果をつかみ取ることはできないでしょう。ですので、これまでUAでここまでできていたとか、こういうことに使っていたといったことにはあまりこだわらず、数年後に会社の事業に何が必要になるのか、会社が成長していくために何をしなければならないのか、長期的な戦略をしっかり考えて取り組んでいくことが大切です。今、基盤の刷新をご検討になっている担当者の皆さまには、UAとGA4の違いなどに囚われず、より長期的な視点に立って議論、説得し、導入を進めていっていただきたいです。

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イー・エージェンシーは「Google マーケティング プラットフォーム(GMP)」、「Google Cloud(Google Cloud Platform / GCP)」の認定パートナーです。

イー・エージェンシーは、これまで培ってきた豊富な知見をもとに、Google アナリティクス 4 プロパティ(GA4)の導入・運用や、Google CloudGoogle Cloud PlatformGCP)によるデータ統合、広告連携、アトリビューション分析、広告やメールなど顧客へのアプローチ施策の効果改善など、データ活用全般を支援しております。

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みなさまのデータ活用をご支援させていただきます。

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この記事を書いた人
神崎 恵

マーケティングプランナー 新卒でイー・エージェンシーに入社。 デザイナー兼マーケティングプランナーとして活動しています。ウェビナーやトレーニング動画の編集にも従事。