ぐるなび様 GA4導入事例 UAからGA4へのスムーズな切替をゴールとした移行計画と移行設計

飲食店情報をWebやアプリで紹介するサービス「ぐるなび」を展開する株式会社ぐるなび様は、次世代のGoogle アナリティクスであるGoogle アナリティクス 4 プロパティ(以下GA4)が発表された当初から積極的な情報収集を開始され、いち早くGA4導入を進められました。

今回は、同社でGA4の導入プロジェクトを推進された2名のご担当者様を囲み、座談会形式でインタビューを行いました。導入に至った背景や実際に操作されたご感想、GA4への今後の期待などをお伺いしました。

※ 今回のインタビューは、株式会社ぐるなび様のご協力の下、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の期間外に、新型コロナウイルス感染予防対策ガイドラインに準拠して実施致しました。マスク不着用の写真は飛沫や呼気等に十分注意して撮影しております。

株式会社ぐるなび
データ・AI戦略部 データ・AI戦略セクション
セクション長 小山内 涼子様
下國 亮子様

GA4のコンセプトに納得。GA4への移行しか選択肢になかった

GA4のご導入を決定した背景や経緯をお聞きかせください。
小山内様:GA4への移行を決定した大きな理由は「UA(ユニバーサル アナリティクス、以下UA)計測終了の期限に向けて、逆算してやらなきゃいけなかったから」というのが正直なところです(笑)
実は、GA4が登場すると発表された時から情報をキャッチアップしはじめて、移行の機会を見定めていました。
最近ではWebサイトの技術がどんどん変わってきています。そのため「ユーザー軸での分析」や「イベントベースで計測する考え方」「エンゲージメント」といった、GA4のコンセプトには同意しています。

下國様:アプリ側の課題として、Google アナリティクス(以下GA)開発者サービス SDKが終了し、Firebase への移行が行われていたため、GA4への乗り換えに前向きでした。

小山内様:過去に他の計測ツールからGA(UA)へ乗り換えた経験があるのですが、その時に行った細かな設定や、全ての項目を載せ替えるといった経験に比べると、GA4への移行は大変ではありませんでした。
もし今回、GA4に移行するか、まったく他のツールに乗り換えるか、という選択肢があったとしても、GA4しか選択肢にない、と今のところは思っていますね。UAを本格的に活用してから8年になりますが、BigQueryを活用できるメリットは非常に大きいです。

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株式会社ぐるなび データ・AI戦略部 データ・AI戦略セクション セクション長 小山内 涼子様

 

GA4への移行において大事だったのは「何が必要か」という取捨選択

GA4への移行はどのようなご準備をされ、取り組まれたのでしょうか?

導入の経緯と移行の準備
小山内様:まず、UAの終了期限から逆算しスケジュールを立てました。UAとGA4の並行計測期間が1年間は必要だと考えました。また、計測開始までの設計や実装にどのくらいの期間が必要か考えた結果、スケジュールに余裕を持って1年間と設定しました。

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下國様:最初に設計を行うにあたり、UAの計測環境をGA4でも出来る限り再現したかったので、まずはUAの設定内容の洗い出しから行いました。
設計当初はGA4にカスタムディメンションがリリースされる前だったので、UAでの設定をどう行うか、イベント計測の設定方法と、目標の計測方法が変わるといった点が懸念点でした。
洗い出しをしている期間中に、GA4がアップデートされ、なんと、カスタムディメンションがリリースされました。UAの実装設定をGA4でも再現できそうだとわかったので、懸念点が1つクリアになりました。
思い返すと色々と大変でしたが、このように洗い出した項目を元に設計を進めていきました。

GA4の移行において重要だったのは、「何が必要か」という取捨選択です。最初にUAの設定を洗い出し、その中から本当に必要な項目を取捨選択することで、シンプルでわかりやすい設計にしました。

また、ページ側でタグの入れ替えをせず、Google タグ マネージャー(以下GTM)の設定だけでGA4とUAの並行計測の設定ができたため、実装もスムーズに行なえました。
また、当社では扱うサイト数が多いため、複数サイトの計測を段階的に着手していきました。最初にPVとイベント計測を開始し、次の段階でカスタムイベント追加、といった形で徐々に実装を増やしていく、といった流れです。


データの確認・数値検証
下國様:UAのカスタムレポートとGA4のデータ探索で数値比較を実施した後、BigQueryでUAとGA4の数値比較を行いました。さらにGoogle データポータルでダッシュボード化して、数値が合っているかの検証を行っています。

検証
小山内様:使い勝手の検証は、チームメンバーで分担し、それぞれが行った検証結果をレビューするかたちで、2〜3か月間行いました。検証期間終了後も気づいた点があれば共有し合う体制を継続しています。

 

イー・エージェンシーは最新情報のキャッチアップが早く、それに合わせた設計ができた

GA4導入をインハウスでのお取り組みを中心に行っていただいた中で、イー・エージェンシーのサービスはいかがでしたか?

下國様:イー・エージェンシーさんは仕様変更などの最新情報のキャッチアップが早く、当社もそれを受けて設計ができたので大変助かりました。
具体的な例を一つ挙げると、拡張eコマースの計測をGTMで対応したいとイー・エージェンシーさんに相談したところ、GTMでの実装に関する知見が豊富で、細かい設定方法のレクチャーや検証も丁寧に対応いただきました。そのおかげで設定ミスにも早い段階で気付くことができました。もう感謝しかありません(笑)

小山内様:特に、GTMの利用を検討されていて、GAを担当する部署にエンジニアがいない企業様には、イー・エージェンシーさんのサポートをおすすめします。

イー・エージェンシー:技術に長けている人でも、わからないことを調べながらインハウスでやるのは難しいですよね。ましてや、担当される方が一人でやりきるのはとても困難だと思います。
GA4は、まだ新しいツールであり情報が充分ではありませんので、ぜひ弊社を頼っていただけると嬉しいです。

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GA4ではセッションの定義が変わり、よりユーザーの行動を追いやすくなった

GA4導入後、実際にGA4を触ってみて、ご感想や良かったポイントなどをお聞かせください。

セッションの定義が変わり、ユーザー軸での計測が可能に
下國様:セッションの定義がGA4で変わる点は、私が一番喜んだポイントですね。
UAの場合は参照元情報が変わるとセッションが切れてしまい、ユーザーの実際の行動と乖離があると感じていました。
GA4では、参照元が変わっても30分以内の再訪であれば1つのセッションと見なすよう定義が変わり、よりユーザーの行動を追いやすくなったと感じています。

 

指標「セッション」の定義変更により、レポートの見やすさが向上
下國様:かなり細かい話ですが、もう一つが指標「セッション」の定義が変わった点です。レポートを見る上で、とても使い勝手が良くなったと考えているポイントです。
UAでは、セッションという指標が閲覧開始数になっていたため、カスタムディメンションと掛け合わせた場合、訪問数(これまでのユニークなディメンションの組み合わせの数)が直感的に分かりづらいと感じていました。

社内で利用促進をする上でネックになっていた部分でしたが、今回定義が変わり、レポートの見やすさが上がると期待しています。

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株式会社ぐるなび データ・AI戦略部 データ・AI戦略セクション 下國 亮子様

 

エンゲージメント指標の追加でアクションも評価に
下國様:この変更は良いポイントだと思います。
記事コンテンツの場合、従来のUAの直帰率は、ページをスクロールして最下部まで読了した場合でも直帰扱いになってしまうため、活用しづらいと感じていました。

GA4のエンゲージメント指標だと、ページを訪問してアクションを起こし、どれだけ滞在したかも判断されるので、評価がしやすくなると思います。

 

標準レポートのカスタマイズは大人数での利用に便利
下國様:標準レポートのカスタマイズは、ユーザーが数百人いる状態で展開している場合に、共有したいレポートを選択でき、便利になったと思います。カスタマイズができ、UAで使っていた設定とある程度は同じような表示にすることも可能です。

 

ぐるなび様ではGoogleCloudの環境を活用したデータマネジメントの環境を構築されていらっしゃるかと思いますが、GA4のデータを活用される予定はありますか?
小山内様:BigQueryは当社の必須要件です。
GAのエクスポートデータを活用し、GAだけでは計算できないKPIなどもモニタリングできる環境を構築しています。上記GAだけでは集計できないレポート、社内データと掛け合わせたKPIといったものです。
BigQueryで集計した結果をダッシュボードに繋ぎ、KPIをモニタリングするといった流れや、BIツールと連携し、各事業関係者が深掘り分析をできる環境を提供しています。
UAから引き続き、GA4になっても、BigQueryを中心にGoogleCloud環境は重要な位置づけです。

 

新しい機能を全て利用しようとするのではなく、自社での用途に合わせて導入を判断している

今後、ぐるなび様ではGA4にどのような期待をされていますか?

ユーザー集計方法の切り替え機能について
下國様:現在の仕様では、「レポート用識別子」を切り替えたタイミングで、ユーザーの集計方法の変更がプロパティ全体に反映されてしまいます。また、カスタムレポートのテンプレートやセグメント共有の機能がありません。当社のように、数百人単位で利用している場合は、設定内容のチェックやレポートの共有について社内利用が難しいと感じています。

例えば、「レポート用識別子」の切替は別のレポートで再現できるといったように、他の方法でユーザー識別方法を切り替えられると利用範囲が広がるのではないでしょうか。UAのビューやサブプロパティ(GA4有料版の機能)を使った切り分けのように、別レポートにできる方が利用範囲が広がるのではないかな、と考えています。

導入を見送った機能について
下國様:GA4では、Webとアプリを同じプロパティで計測できるようになったことが大きな変更点ですが、当社では導入していません。
導入を見送った理由は、同じプロパティで計測してもデータストリームが異なるため、行動としては1つのセッションでつなぐことができないからです。
当社では、会員IDでユーザーを紐づけてBigQueryで統合分析する方法を採用しました。
今後、デバイスをまたいだユーザー行動が、セッション単位で見られるようになるアップデートがあれば、当社でも導入するメリットが出てくると感じています。

GA4のレポートについて
下國様:全体的に、レポートを共有するという機能面が弱くなったという印象です。
GA(UA)をあまり使いこなせていないユーザーに対しては、カスタムレポートやセグメントのテンプレートを展開してレポートを共有していたのですが、GA4だと難しいと感じています。
また、ページ名の加工ができない点は大きなネックだと感じています。ページ数が多いサイトは多くのページが「(other)」となってしまうため、標準レポートの利用が難しいです。

小山内様:BigQueryの活用は進めていくものの、300名ほどのGA利用者全員がSQLを使ってBigQueryでデータ閲覧することはハードルが高いので、レポートUIに関する課題は、今後解消されることを期待しています。

イー・エージェンシー:貴重なご意見、ありがとうございます。ご指摘いただいたご要望は他社様からも寄せられております。
お客様からのご要望をGoogle社にお伝えさせていただき、GA4の機能改善に繋げてまいります。

 

約6ヶ月間で多くのユーザーに社内勉強会を実施し、GA4への切り替えを目指していきたい

今後のGA4の活用促進はどのような計画をお持ちですか?

下國様:まず、レクチャー前の期間で300人程度のアクティブユーザーからフィードバックをもらう予定です。アンケートやインタビューを行い、活用度合いや活用方法・目的の違いに分けて、それぞれの意見を盛り込んだターゲット別勉強会の内容を企画していきたいと考えています。

今年の10月から6か月間のレクチャー期間でGA4の操作に慣れてもらい、来年の4月よりGA4へ切り替えをする予定です。

 

GA初心者にもわかりやすいだけでなく、中・上級者向けのコンテンツも揃ったGMP プレミアムサロンを活用していきたい

弊社のGMP プレミアムサロン(Google アナリティクス 360 ご契約社様限定のデータ活用支援情報サイト)はご活用いただいておりますでしょうか?

下國様:動画や資料も見やすくイラストや図で解説されていますし、ワークの内容も分かりやすいです。初心者に説明するべきポイントを把握しやすいので、社内にも展開していきたいと思っています。
また、これはUAの内容になりますが、セッションの定義やスコープといった細かい部分の学習コンテンツも用意されており、理解を深めるのに役立っています。

 

これからこんなコンテンツがあったら活用してみたい、といったご意見などがありましたら、ぜひお聞かせください。

下國様:短い内容で1テーマにクローズアップしたコンテンツがあるといいですね。
担当者によって権限が違う場合、学習してもらいたい内容が異なりますので、1テーマごとに動画が切り出されているといいなと思います。編集権限が必要な設定とレポートの見方に特化した内容があったら、社内で活用しやすいです。

また、動画がテーマごとに切り出されていれば「GMP プレミアムサロンのこの動画を見ておいてね」と伝えるだけでよくなり、ますます活用の幅も広がりそうです。

 

GA4やBigQueryは難しそうだからと身構えずに、まずは使ってみては

これからGA4を導入される方々に向けてのメッセージ、アドバイスなどがありましたら、お願いいたします。

下國様:UIが大きく変わり、取っ付きにくいイメージがあると思いますが、当社の場合、実装は手間を掛けずに計測を開始できています。また、UAの設定を活用してGTMで完結することも可能です。レポートもカスタマイズするとUAとのギャップはそこまでありません。先入観を持たずに、まずは使ってみると良いと思います。

小山内様:私はUAの頃からBigQueryを高く評価していましたが、GA4では、よりBigQueryの必要性が増したと実感しています。
BigQueryは難しいという声を耳にすることがありますが、身構えずに使ってみたら良いのではないでしょうか。
小さな規模のサイトでもいいので、BigQueryを使ってみると探索レポートの使い方がよくわかるようになりますので、おすすめです。
また、1ユーザーの行動をログで見てみると、ユーザーの息吹というか、ユーザーの行動イメージが湧くと思っています。

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今後もイー・エージェンシーの伴走型支援に期待

最後に、今後イー・エージェンシーに期待をされることをお聞かせください。

下國様:新しい情報のキャッチアップは本当に助かっているので、引き続きコミュニケーションを取って、GA4をさらに理解していけたら嬉しいです。
イー・エージェンシーさんのサポートの優しさが文章からも伝わってきますし、今後もお世話になりたいです。私も、社内でGAのサポートを担当しているので、サポートやオンボーディングの大変さがよくわかります。

小山内様:これまでのサポートを継続してお願いしたいです。
実際にGA4などのツールを使い、その結果を一緒に考えて、「こうだね」と一緒に解釈する一連のプロセスが大事だと思っています。少しマニアックな計測定義の話や実装方法にも相談に乗っていただき本当に心強いです。今後も引き続き、伴走型の支援を期待しています。

 

貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございました。今後も引き続きデータ活用の推進パートナーとして伴走し、課題の解決に向けてお役に立てたらと考えております。これからも引き続きよろしくお願いいたします。

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株式会社ぐるなび 下國 亮子様(中央左)、小山内 涼子様(中央右)
株式会社イー・エージェンシー 田中 亨(左側)、小川 次郎(右側)

今回はぐるなび様に、同社でGA4を導入された経緯や、今後のご活用に関する展望などについてお話を伺いました。 

イー・エージェンシーは「Google マーケティング プラットフォーム(GMP)」、
「Google Cloud(Google Cloud Platform / GCP)」の認定パートナーです。

イー・エージェンシーは、Google アナリティクス 360の導入・運用およびデータ活用において、APACでもトップクラスの実績を持つGoogle公認リセラーです。これまで培ってきた豊富な知見をもとに、Google アナリティクス 4 プロパティ(GA4)の導入・運用や、Google Cloud(Google Cloud Platform/GCP)によるデータ統合、広告連携、アトリビューション分析、広告やメールなど顧客へのアプローチ施策の効果改善など、データ活用全般を支援いたします。

次世代のアクセス解析プラットフォーム Google アナリティクス 4 プロパティ(GA4)や Google Cloud(Google Cloud Platform / GCP)、
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この記事を書いた人
松原 奈々

広告代理店でのライター・プランナー、Webメディアでの企画編集を経てイー・エージェンシーに入社。 わかりやすいコンテンツづくりを心がけています。