最終更新日:2025年6月23日
公開日:2024年4月9日
近年、ビジネスにおけるデータ活用の重要性が高まる中、Googleが提供するBIツール「Looker Studio」は、多くの企業や個人に利用されています。無料で高機能なLooker Studioですが、さらに高度な機能やサポートを求める声に応える形で有料版の「Looker Studio Pro」が登場しました。
本記事では、「有料版のLooker Studio Proと、無料版のLooker Studioは何が違うの?」「自社にはどちらが合っているのだろう?」といった疑問をお持ちの方へ、それぞれの特徴や違いを解説します。またLooker Studio Proを導入する際に気をつけるべきポイントについてもご紹介しますので、最後までご覧ください。
この記事が、ビジネスニーズに最適なツール選びの手助けとなれば幸いです。
※イー・エージェンシーは、「Google マーケティング プラットフォーム(GMP)」「Google Cloud」の認定パートナーです。
INDEX
Looker Studio(無料版)とは?
Looker Studioは、Googleが提供する高機能なデータ可視化ツールです。Google アナリティクス 4 プロパティ(以下GA4)やスプレッドシートなど、さまざまなデータソースと連携し、効果的に可視化することができます。また、大規模なデータウェアハウスであるBigQueryとの連携もスムーズで、データ分析の幅を広げることが可能です。
Looker Studioは、以前は「Google データポータル」という名称で提供されていましたが、Lookerを買収したことでリブランディングを行い、その後、有料版のLooker Studio Proがリリースされました。
この章では、Looker Studioのメリットと、Looker Studioが適しているケースについてご紹介します。
Looker Studioの主な特徴
項目 | 詳細 |
完全無料 | 追加費用なしで高機能なデータ可視化ツールを利用可能。 |
豊富なデータコネクタ | Google アナリティクス、Google 広告、Google スプレッドシート、BigQueryなど、多くのGoogleサービスはもちろん、様々なツールと接続して利用可能。 |
直感的なインターフェース | ドラッグ&ドロップで簡単にグラフや表を作成でき、専門的な知識がなくても扱いやすい。 |
リアルタイム共有と共同編集 | 作成したレポートは簡単に共有でき、複数人での共同編集も可能。 |
柔軟なカスタマイズ性 | デザインやレイアウトを自由にカスタマイズし、ブランドイメージに合わせたレポートを作成可能。 |
Looker Studioが適しているケース
項目 | 詳細 |
個人でのデータ分析や可視化 | フリーランスなどの個人の方が、Webサイトのアクセス解析やプロジェクトの進捗・成果を可視化する際に最適です。 Googleスプレッドシートと連携し、売上管理もダッシュボードで管理できます。 |
小規模なチームでのレポート共有 | スタートアップや小規模チームでの利用に最適です。営業成績や広告の成果といった各種レポートを、リアルタイムでメンバーと共有する際に役立ちます。 |
まずは無料でBIツールを試してみたい方 | BIツールが初めての方や、導入前に試したい方に最適です。Excel等の手持ちのデータをアップロードするだけで、手軽にデータ可視化を体験できます。 |
Googleサービスを主に利用している方 | GoogleアナリティクスやGoogle 広告、スプレッドシート、BigQuery等を日常的に使う方に最適です。Looker Studioは各種Googleサービスと親和性が非常に高いツールです。 |
無料でありながら非常に高機能なLooker Studioですが、組織での利用規模が大きくなったり、より高度な管理やサポートが必要になったりすると、いくつかの課題が見えてくることもあります。
そういった課題の解決には、Looker Studio Proが役立つかもしれません。
次の章では、Looker Studio Proについて、詳しくご紹介します。
Looker Studio Pro(有料版)とは?
Looker Studioとの違い6選
Looker Studio Proは、Looker Studioの使いやすさはそのままに、エンタープライズ向けの機能やサポートを強化した有料版のサービスです。組織全体でのデータ活用を促進し、ガバナンスを強化したい企業に適しています。
この章では、Looker Studioとの違いと、Looker Studio Proが適しているケースについてご紹介します。
AIアシスタント「Gemini in Looker」が利用できる
Gemini in Lookerとは、まるで優秀なデータアナリストが隣にいるかのように、分析作業をサポートしてくれる機能です。例えば、「今月のキャンペーン別の売上推移グラフを作って」と指示するだけで、Geminiが自動で適切なグラフを作成してくれます。
これまで時間をかけて行っていた手作業でのデータ集計やグラフ作成の手間が不要になり、分析業務の生産性を飛躍的に向上させます。データから素早く答えを見つけたいなら、Geminiが利用できるLooker Studio Proは非常に強力な選択肢となります。
Looker Studioとの違い2
「Code Interpreter」がデフォルトで利用できる
Code Interpreterとは、自然言語(私たちが普段話すような言葉)での質問を、Looker Studio Proが自動でPythonというプログラミング言語のコードに変換・実行し、高度な分析やデータの可視化を行ってくれる機能です。
これにより、これまで専門的な知識がなければ難しかった高度なデータ分析や複雑なグラフを、自然言語で指示するだけで実行できます。
Looker Studio Proなら、このCode Interpreterをデフォルトで利用できます。
Looker Studioとの違い3
Identity and Access Management(IAM)により、組織レベルでの権限管理ができる
Looker Studioは、GmailやGoogleアカウントベースでの管理となっておりますが、Looker Studio Proでは、Google CloudのIdentity and Access Management(以下IAM)で管理ができるようになりました。
IAMは、Google Cloud上で、組織や個々のユーザー、サービスアカウント、リソースに対するきめ細かいアクセス権限を管理することが可能です。
Looker Studio Proは、このIAMを使用することで、レポートを組織レベルで権限管理することが可能となりました。これにより、組織権限外のレポート(誰が作ったかわからない、所有者不明のレポート)が生まれにくく、ガバナンスを制御できるメリットがあります。
Looker Studioとの違い4
チームワークスペースにより、チームのコラボレーションを改善できる
Looker Studio Proでは、レポートをフォルダのように分けて管理できる「チームワークスペース」という機能が利用可能になります。
例えば、チーム単位でフォルダを作成し、他チームのユーザーには閲覧権限のみを許可するなど、最適な権限付与が可能になります。
また、Looker Studioでは、オーナー権限が必要なため、オーナーが退職した際には権限の移行が必要です。一方、Looker Studio Proなら、組織に紐づけることとなるので、組織自体がオーナーとなり、オーナー権限の付け替えが不要になります。
他にも「マネージャー権限を複数人に割り当てて、オーナー同様の権限を共有する」など、様々な権限管理が可能です。
Looker Studioとの違い5
サポートと 99.9%の可用性SLA
Looker Studio Proをお使いのユーザーなら「Google Cloud カスタマーケア チャネル」から、サポートを受けることができます。
日々進化するツールを最大限に活用するためには、コミュニティーサイトやウェブ検索だけでは限界があります。公式のサポートからの専門的な回答は、ツールの効果的な活用において非常に心強いでしょう。
加えて、Looker Studio Proでは、SLAを提供しています。
Looker Studio Proを組織として活用する際、SLAで保証されていることは、大きな信頼と安心に繋がります。
Looker Studio Pro Service Level Agreement (SLA)
https://cloud.google.com/looker-studio/sla
Looker Studioとの違い6
レポートの自動配信をスケジュール設定できる
作成したレポートを定期的に、自動で、指定した相手に送ることができます。Looker Studio Proなら、1つのレポートにつき最大20件まで設定ができ、メールだけでなくGoogle Chatのスペースにも直接配信できます。
日々のレポート業務に少しでも負担を感じている方は、ぜひこの機能の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
Looker Studio Proが適しているケース
項目 | 詳細 |
データ分析の専門家がいないがデータから深い洞察を得たい企業 | 「Gemini in Looker」や「Code Interpreter」を活用すれば、データから深い洞察を得たり、複雑なグラフを簡単に構築することができます。データ分析の専門家がいない企業にもおすすめです。 |
中規模以上の組織で、複数のチームや部署でLooker Studioを利用したい企業 | 複数部門を持つ企業に最適です。部署ごとにバラバラなレポート管理や情報共有の課題を解決し、組織全体で統一された指標でのデータ分析を実現します。 |
データガバナンスやセキュリティを重視する企業 | 金融機関や医療機関など、高いセキュリティと厳格なデータ管理が求められる企業に最適です。誰がどのデータにアクセスしたかを正確に把握し、情報漏洩のリスクを最小限に抑えます。 |
安定した運用と手厚いテクニカルサポートを必要とする企業 | 経営レポートなど、Looker Studioを重要な意思決定に利用している企業に最適です。万が一の障害発生時も迅速なサポートで、ビジネスへの影響を最小限に抑えます。 |
Google Cloud環境でデータ基盤を構築・運用している企業 | BigQueryの活用など、Google Cloud中心のデータ基盤を運用している企業に最適です。Looker Studio Proは親和性が極めて高く、データ戦略をさらに加速するのをサポートします。 |
クライアントに定期報告を行う代理店などの担当者の方 | レポートの自動配信を利用すれば、毎月のレポート作成・送付業務の手間を削減し、レポート内容の分析や改善提案により多くの時間を割けるようになります。 |
Looker StudioとLooker Studio Proの機能比較一覧
機能・項目 | Looker Studio | Looker Studio Pro |
料金 | 無料 | 有料(ユーザー数に応じた課金) |
主なターゲット | 個人、小規模チーム |
中規模〜大規模組織 エンタープライズ |
ガバナンス | アカウントベースで管理 | Identity and Access Management(IAM)で管理 |
Gemini in Looker | なし | 利用可能 |
Code Interpreter | なし | 利用可能 |
コンテンツ管理 | 個人他にでの管理が中心 | チームワークスペースによる組織的なコンテンツ管理、柔軟な権限設定 |
サポート | コミュニティフォーラム中心 | Google Cloud カスタマーケア チャネルによるテクニカルサポート |
SLA | なし | 99.9%の可用性SLA |
レポートの自動配信スケジュール設定 | 1つのレポートにつき1件まで メールのみ アラート機能なし |
1つのレポートにつき最大20件まで メール、Google Chat アラート機能あり |
Looker Studio Pro(有料版)を導入する際に気をつける3つのポイント
ここまで、Looker Studio Pro(有料版)とLooker Studio(無料版)の違いについてご紹介しました。
組織的なレポート管理に長けているLooker Studio Pro(有料版)ですが、具体的に導入する際にはどのような点に注意する必要があるのでしょうか?
Looker Studio Pro(有料版)を導入する際に気をつけるべき、3つのポイントをご紹介します。
注意ポイント1
支払いにはクレジットカードが必要
通常Looker Studio Pro(有料版)の利用料を支払うには、クレジットカードが必要です。
しかし、イー・エージェンシー経由でご契約のお客様なら、請求書でのお支払いが可能となります。
クレジットカード登録をしてのお支払いが難しい企業様は、イー・エージェンシー経由でのご契約がおすすめです。
注意ポイント2
ドル建てでの支払いになる
通常、Looker Studio Pro(有料版)のお支払いは、ドル建てになります。
しかし、イー・エージェンシー経由でご契約のお客様なら、日本円での支払いが可能です。
日本円でのお支払いをご希望の企業様は、ぜひイー・エージェンシー経由でのご契約をご検討ください。
注意ポイント3
ご利用開始の際にGoogle Cloudのご契約が必要
Looker Studio Pro(有料版)の利用には、Google Cloudの組織(GWSもしくはCloud Identity)設定が必要になるため、Google Cloudのご契約が必要になります。
Google Cloudをイー・エージェンシーからご契約いただくと、月々の従量費用を3%お値引きした価格で提供可能です。大変お得なサービスとなっていますので、ぜひイー・エージェンシーからのご契約をご検討ください。
料金(公式)
https://cloud.google.com/looker-studio?hl=ja#pricing
組織として活用するならLooker Studio Pro(有料版)がおすすめ
個人利用でも非常に便利なLooker Studio(無料版)ですが、組織としてデータ活用を進めていく場合は、有料版であるLooker Studio Proがおすすめです。データ活用が進む現代では、誰もがデータを効率的に利用できる環境が必要です。イー・エージェンシー経由でご契約いただくと、通常よりもお得に利用することが可能です。
イー・エージェンシーからご契約するメリット
イー・エージェンシーは、「Google マーケティングプラットフォーム(GMP)」「Google Cloud」の認定パートナーです。Looker Studioの導入と効果的な活用に関して、コンサルティングもご提供していますので、活用に関するお悩みや課題など、お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせはこちら
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この記事を書いた人

マーケティングプランナー 新卒でイー・エージェンシーに入社。 デザイナー兼マーケティングプランナーとして活動しています。ウェビナーやトレーニング動画の編集にも従事。
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