アプリ計測のデータが、リアルタイムレポートにすぐに反映されないと感じたことはありませんか?
本記事では、そのようなお悩みを解決するため、Google アナリティクス 4 プロパティ(以下GA4)のアプリデータ送信の仕組みやタイミングに焦点を当ててご説明します。データをまとめて送信する「バッチ処理」の仕組みや、それがリアルタイムレポートの遅延に与える影響、そして後から集計される「レイトヒット」の役割まで、データ送信の舞台裏を詳しく解説します。
この記事を通して、GA4のアプリデータの送信傾向を正しく理解し、データ分析をさらに進化させましょう。
GA4アプリデータの「見えない遅延」の正体:バッチ処理とは?
Firebase 向け Google アナリティクス SDK(以下、Firebase SDK)で収集されたアプリのデータは、GA4に常に即時送信されるわけではなく、ローカルに保存した後、イベントの発生から最大1時間以内にまとめてGoogleのサーバーに一括送信されます。
バッチ処理はデータをまとめて送信するほか、バッテリー消費の軽減やオフライン時のデータを後日送信する等の役割も持っています。
バッチ処理はどこで管理されているのか
バッチ処理の管理は、ユーザーが利用している端末によって異なります(弊社検証ベースで確認した内容です)。
<Google Play開発者サービスがインストールされている端末>
バッチ処理はGoogle Play開発者サービス(※)によって、端末内で一元管理されます。
<Google Play開発者サービスがインストールされていない端末>
iOS端末やGoogle Play開発者サービスがインストールされていないAndroid端末では、アプリごとのFirebase SDKがバッチ処理を管理します。
※Google Play開発者サービス…GA4がAndroidアプリからデータを収集・分析するために必要な識別子(広告ID)や、安定動作のための基盤を提供しています。
GA4のデータがリアルタイムで届くのはどんな時? データの即時送信の条件
バッチ処理の仕組みがあると、「アプリのデータは即時送信されない」と思ってしまいますが、以下のいずれかの条件に該当した際は、GA4に即時でアプリデータが送信されます。
①デバッグモードを有効にしたとき【iOS / Android共通】
デバッグモードを有効にして(※)、DebugView機能を利用する際は、データがほぼリアルタイムで送信されます。
※デバッグモードの有効化の方法は下記ヘルプページに記載されています。
▼デバッグモードを有効にする
https://firebase.google.com/docs/analytics/debugview?hl=ja#enable_debug_mode
②キーイベントが計測されたとき【iOS / Android共通】
キーイベントに登録されているイベントが計測されたときは、データが即時送信されます。first_openイベントはデフォルトでキーイベントに設定されているため、初回起動のタイミングでは、first_openやsession_start、最初の画面のscreen_viewはほぼリアルタイムでデータが送信されます。
③端末で一元管理されているバッチ処理のタイミングと一致したとき【Androidの「Google Play開発者サービスアプリあり」の環境のみ(※)】
アプリ起動中(バックグラウンドも含む)はFirebase SDKがイベントの発生から最大1時間以内にバッチ処理を実行しますが、Google Play開発者サービスアプリがインストールされている端末内でFirebase SDKが入っているアプリが複数存在する場合、それらのアプリは共通のバッチ処理タイミングとなります。
例えば、アプリAで10:00にイベントを計測した後、アプリBで11:00にイベント計測すると、アプリAのバッチ処理のタイミングと重なるため、アプリBの計測データも11:00のタイミングで即座に送信されるようなイメージです。
(この条件は、弊社検証ベースで確認した内容となります。)
以上の3つのいずれかの条件に該当した場合はアプリデータは即時で送信され、この条件に該当しない場合には、少し遅れてデータが送信されますので、ご留意ください。
GA4リアルタイムレポートが「不安定」な理由
アプリデータのバッチ処理の仕様は、GA4でリアルタイムレポートでのデータ確認にも影響を及ぼします。
実際に、お客様から「アプリのデータがリアルタイムレポートに反映されたりされなかったりする」というご相談をいただいたことがありますが、これはバッチ処理が起因していると考えられます。
計測データをすぐにリアルタイムレポートで確認したい場合は、バッチ処理による遅延を回避するためにデバッグモードを有効にするか、キーイベントを含めて計測することをご検討ください。
GA4データの「レイトヒット」とは?レポートが後から変動する理由
GA4ではイベントがデバイス上で発生した時点から72時間以内であれば、そのデータをGA4で集計し、レポートに反映することができます(72時間を超えた場合はイベントがロストします)。
例えば下記のような行動をした場合、GA4のレポートならびにBigQueryでは、遅れて送信されたイベントが後から集計されてレポーティングされます。
- 8月10日:端末がオフラインの時にアプリで「イベントA」を計測
- 8月12日:端末がオンラインの時にアプリを利用(※)
- 8月12日時点では、8月10日のデータに「イベントA」は存在しない
- 8月13日時点でレイトヒットの集計が完了し、8月10日のデータに「イベントA」がレポーティングされる
そのためGA4やBigQueryでは、レイトヒットの影響で後からレポーティングされるデータが変動することがあります。
※このユーザー行動はiOSを利用した場合の例を記載しています。Androidの場合、Google Play開発者サービスがインストールされている端末では、アプリを再起動しなくてもオンラインになった時点でイベントが送信されます。
データ送信の仕組みを理解し、より高度な分析へ
いかがでしたでしょうか?今回の記事では、GA4のアプリデータがどのように送信されるのか、その舞台裏を掘り下げて解説しました。即時送信されないバッチ処理の仕組みや、データの確実な収集を支えるレイトヒットの存在についてご理解いただけたかと思います。
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