近年、AIに代表されるITの進展はめざましく、デジタル技術の進化により市場状況は大きく変化しています。市場や顧客が抱えているニーズは常に変化しており、それに伴いビジネス環境も劇的に変わりつつあります。そうした変化へ対応するためには、DXをうまく取り入れて、サービスの改善や創出など、市場での競争力を高めることが求められています。
またDX推進の重要性が増したことで、いかに自社に必要なデータを収集・分析して、ビジネスの意思決定に活かせるかが課題になっており、データで企業の課題を解決できる人材の需要が高まっています。
INDEX
データで企業の課題を解決できる人材とは
データで企業の課題を解決できる人材とは、簡単に言えば、大量のデータを分析・活用し、時にはAIや機械学習を用いてビジネスにおける課題を解決できる人材のことで「データ活用人材」とも呼ばれています。主にデータを収集・加工・分析し、ビジネスの意思決定に活用するための技術的なスキルや、問題解決能力・コミュニケーション能力などが求められます。
データ活用人材の現状
経済産業省は、日本のAI人材は2030年に最大14.5万人不足すると発表しており、データ活用人材についても慢性的な不足状況は今後も続くと予想されます。
データ活用人材が不足している理由としては、下記3点があげられます。
- DXに取り組む企業の急増
DXを推進するために必要な人材を多くの企業で求めているため、慢性的な人材不足になっている。 - 実務経験者が少ない
データ活用関連の職種は比較的新しいため、実務経験者が限られ、かつ指導できる人材も少なく、新しいデータ活用人材を教育することが難しい。 - 教育機関が少ない
必要な知識やスキルを体系的に学ぶための教育機関が少ない。
「人材のリスキリング」は重要課題
DX推進による慢性的な人材不足から、データ活用人材を外部から採用することは難しい状況となっています。そのため、内部人材にリスキリングを行い、必要なスキルを身に着けてもらうことは、企業にとって重要な取り組みの一つとなります。
ただ、すべてを内製化しようと考えると、負担がかかりリスキリングに対する敷居が高く感じてしまいます。外部にあるコンテンツや教育サービスなどを活用した方が、費用と時間の節約になる場合もあります。
データ活用人材に必要な3つのスキル
データ活用人材に必要なスキルとして、「ビジネス力」、「データサイエンス力」、「データエンジニアリング力」の3つがよくあげられます。
必要なスキル① ビジネス力
ビジネスに関する理解や知識を指します。これは、会社や業界の目標や課題を理解し、データを使ってビジネス上の意思決定をサポートする能力を指します。
必要なスキル② データサイエンス力
データを収集・分析し、問題を解決する能力を指します。統計学や情報処理などの知識を用いて、データを正確に読み解く力により、データから価値ある情報を引き出します。
必要なスキル③ データエンジニアリング力
データを効率的に処理し、保存し、利用可能にする技術的なスキルを指します。データの収集からデータベースの構築までのデータの流れを管理し、データ品質を確保します。これにより、データを使った分析やビジネスの意思決定がスムーズに行えるようになります。
これらの3つの要素は、データを活用してビジネス価値を創出するために重要ですが、一人でこれらすべてを賄うことは、かなり難しいといえるでしょう。それぞれの専門知識を持った人材が協力することが、データ活用を推進する上で重要です。
データ活用人材を準備するには
データ活用を始めたいが適切な人材がいない場合、まず「データサイエンス力」や「データエンジニアリング力」を持った専門人材の採用を検討するのではないでしょうか？
その一方で、データ活用はビジネスニーズと密接に関係しているため、分析対象のビジネスについて深く理解する「ビジネス力」が最も重要となります。そのため、自社ビジネスを深く理解した社員に対して「データサイエンス力」や「データエンジニアリング力」を養う教育を行い、組織づくりを行う企業が増えています。
例えば、湘南美容クリニックを中心に日本全国に200以上のクリニックを展開するSBCメディカルグループ様は、自社ビジネスをよく理解し、美容分野に長じている現場カウンセラーをデータアナリストとして育成し、そのビジネス力を活かしたデータ活用の取り組みを行っています。
【事例】SBCメディカルグループ様 GA4導入・Google Cloud活用事例
GAを中心としたデータ分析環境構築でより精度の高い集客施策を実現
https://googleanalytics360-suite.e-agency.co.jp/case/20240111_01
このように、社内の業務に精通した人材のリスキリングには、既存事業に精通しているのですぐに新しく身に付けたスキルや知識を活かすことができます。リスキリングを社内で推進すれば、スムーズに仕事を進めることができ、データ活用人材育成・獲得の近道である場合もあります。
データ活用人材の育成のポイント
データ活用人材を育成する際には、下記のポイントを押さえることが大切です。
育成ポイント① データ活用で解決すべき課題を明確にする
ビジネス課題に対するデータ分析の目標を明確にし、それに合わせて必要な人材や役割を検討することが大切です。「何を達成したいのか」「どんな問題を解決したいか」という目的によって、データ分析のアプローチや求められるスキルが異なるため、最初から何でもこなせるデータ活用人材を養成するのではなく、まずは優先して必要とされるスキルに特化した人材の育成に焦点を当てると良いでしょう。
育成ポイント② データ活用の学習環境を整える
データを活用してビジネス課題を解決する手法は、ここ数年で特に注目されるようになり、今まさに活性化している取り組みです。この分野は比較的新しいため、実務経験が豊富な人材がまだ限られており、スキルや知識を指導できる人材も少ないため、「データ活用人材を社内で育てたいけど、ノウハウやリソースが不足している」という声がよく聞かれます。
「ビジネス力」は、自社や業界に関する知識、課題、目標に対する深い理解が必要となります。これは、書籍やウェブサイトだけでは補完することは難しいため、自社で教育を行う必要があります。
また「データサイエンス力」や「データエンジニアリング力」は、基礎知識がない状態で学習を進めても、効率よくスキルを習得できなかったり、途中で挫折したりする可能性があります。自分のレベルに合わせて学習できる動画教材や学習サイトなどの学習サービスの利用を検討してみるのもよいでしょう。平日の日中は仕事に追われていても、夜や週末などに学習を進めることができるため、無理のないペースで本業と両立しながらスキルを磨くことが可能です。
【関連コラム】データ活用に社内教育は必須！GA4を体系的に学ぶ方法とは
https://googleanalytics360-suite.e-agency.co.jp/column/20240130_01
いかがでしたか？社内でリスキリングを推進し、データ活用人材を育てる取り組みは、今後のビジネスの成功に不可欠な要素となります。外部から専門分野の人材採用も一つの手段として考えられますが、社内人材のリスキリングを行うことは、社内ノウハウの蓄積や人材確保など、様々な面でメリットが高いと言えます。
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