Google タグ マネージャー(以下GTM)は、Webサイトやアプリのタグを効率的に管理できるツールとして広く利用されています。しかし、GTMを運用する中で、企業やチームが直面する課題も少なくありません。特に、大規模なチームや複数のサイトを管理する場合、次のような問題が発生しがちです。
GTM運用におけるよくある問題
- ワークスペースの作成制限に引っかかってしまった
- 異なるチームやベンダー間での管理権限の調整が煩雑
- タグの変更を適切に管理し、承認プロセスを徹底する必要がある
ただし、日本ではGTM360単体での契約を行うことができません。Google アナリティクス 360(以下GA360)の契約をするとでGTM360を利用することが可能になります。
本記事では、GTMとGTM360の違いに注目し、GTM360の主要な機能である「ワークスペース」「ゾーン機能」「承認機能」について詳しく解説し、それぞれの重要性を紹介します。
INDEX
GTMとGTM360の違い1
ワークスペースの作成数の制限を緩和
GTMでは、一つのコンテナ内でタグの変更を行いますが、GTM無料版では複数人で同時に作業すると変更が競合し、上書きされるリスクがあります。このリスクを回避するためには「ワークスペース」が有効です。
ワークスペースのメリット
- 複数人が同時に作業可能
- 個別の作業スペースでテスト・確認ができる
- 変更を競合させずに統合できる
GTM無料版でも「ワークスペース」は作成可能ですが、最大3つまでという制限があります。一方、GTM360ではその上限が無制限に緩和され、大規模プロジェクトでもチームごとに独立した環境を作成し、同時並行で作業を進められます。
GTM(無料版) | GTM360 | |
ワークスペース作成数 | 最大3つ | 無制限 |
特に、大規模なプロジェクトではマーケティングチーム、エンジニアチーム、外部パートナーなど複数のチームがタグの設定や変更を行うケースがあります。このとき、3つのワークスペースではすぐに枠が埋まってしまうため、GTM360を導入することで、必要に応じて無制限にワークスペースを作成できる点は大きな安心材料と言えるでしょう。
GTMとGTM360の違い2
ゾーン機能でタグ管理の分業を最適化
GTM無料版では、すべてのタグを1つのコンテナで管理しますが、GTM360では「ゾーン機能」を使ってコンテナを複数のゾーンに分割し、タグ管理をより柔軟に制御できます。
ゾーン機能のメリット
- 特定のチームやベンダーに、特定のゾーン内でのみタグの管理権限を与えられる
- ゾーンごとに管理ポリシーを設定でき、必要最小限の権限のみ付与可能
- 外部パートナーやベンダーにタグの管理を委託しつつ、メインコンテナのセキュリティを確保できる
例えば、マーケティングチームには広告タグの管理権限を、開発チームには技術的なイベント計測タグの管理権限を与えるなど、適切な範囲で権限を分けることで、作業の効率化とセキュリティ強化の両方を実現できます。さらに、外部パートナーにタグ管理を依頼する際も、必要なゾーンだけに権限を限定することで、全体の管理ポリシーを保持しながら安全に運用できます。
GTMとGTM360の違い3
承認機能を使った変更管理の強化
GTMを使用する企業では、タグの追加や変更がWebサイトの動作やデータの正確性に大きな影響を与えるため、慎重な管理が求められます。GTM360では「承認機能」を活用することで、変更の監視と管理をより厳密に行うことができます。
承認機能のメリット
- タグの変更を複数の承認ステップで管理可能
- 誤った設定のリスクを低減
- 変更履歴を記録し、問題発生時のトラブルシューティングが容易になる
GTM無料版では、タグの変更がそのまま公開されるため、誤設定があると即座に問題が発生してしまいます。しかし、GTM360の承認機能を活用すれば、タグの変更を事前にチェックし、必要に応じて管理者が承認することでリスクを最小限に抑えることができます。
GTM360を導入する方法
GTMとGTM360の違いに注目し、GTM360の主要な機能についてご紹介してきました。
GTM360の機能は、特に大規模なサイトや複数のチームで運用する場合に大きなメリットをもたらします。タグの管理が煩雑になりがちな企業にとっては、ワークスペース、ゾーン機能、承認機能を活用することで、運用の負担を大幅に軽減できます。
ここでは、そんなGTM360を導入するための4つのステップについてご紹介します。
STEP 1. 現在のGTM運用の課題を洗い出す
現在のタグ管理の問題点を明確にし、GTM360のどの機能が役立つかを整理します。
STEP 2. GA360の契約を検討する
GTM360を利用するには、Googleアナリティクス360(GA360)の契約が必要です。
STEP 3. 導入計画を立てる
チームの役割分担やゾーンの設計、承認プロセスの構築を検討します。
STEP 4. GTM360の機能を活用し、運用を最適化する
ワークスペースやゾーン機能、承認機能を適切に活用し、スムーズな運用を実現します。
GTM360の利用は、GA360の契約に含まれているため、GA360を導入している企業は追加コストなしでGTM360の機能を活用できます。
GA360のメリット: GTM360だけでなく広範なデータ活用を実現
GTM360を利用するにはGA360の契約が必要ですが、GA360自体も「BigQueryへのエクスポートの上限緩和」や「サンプリングの回避」「データ保持期間の延長」「(Other)の表示回避」「データセットの設定エラーの解消」「サブプロパティの作成」「Google広告連携におけるオーディエンス作成上限の緩和」「収集できるイベント上限の緩和」など、データ活用を進める上で重要となる様々なメリットがあります。
GTM360だけでなく、GA360も併せて活用することで、マーケティングやデータ分析の精度を飛躍的に向上させることができます。
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現在、GTMの組織的な運用に課題を感じている場合、GTM360の導入は大きな解決策となる可能性があります。また、併せてGA360を活用することで、データ分析や広告運用の精度も向上し、ビジネス全体のデータ活用がさらに進化します。ぜひ一度、導入を検討してみてください。
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この記事を書いた人

マーケティングプランナー 新卒でイー・エージェンシーに入社。 デザイナー兼マーケティングプランナーとして活動しています。ウェビナーやトレーニング動画の編集にも従事。
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