最終更新日:2025年9月10日
公開日:2024年3月25日
Web解析の定番ツールとして知られるAdobe Analytics。
しかし、
「コストを見直したい」
「計測基盤をGoogle製品に統一したい」
「Webとアプリを横断したユーザー行動を把握したい」
といった理由から、Google アナリティクス 4 プロパティ(以下GA4)への移行を検討している企業も多いかもしれません。
この背景には、単なるツール変更に留まらない、マーケティング環境の大きな変化が関係していると考えられます。
プライバシー保護への対応、AIによるデータ活用の本格化、そしてデータ連携の強力なメリットといった時代の要請に応える形で、GA4は多くのマーケターにとって魅力的な選択肢となっているのではないでしょうか。
この記事では、Adobe Analyticsからの移行を具体的に考え始めた方や、情報収集をされている方に向けて、「各ツールの紹介」から「実践的な移行戦略」「よくある失敗事例とその対策」までを分かりやすく解説します。
※イー・エージェンシーは、「Google マーケティング プラットフォーム(GMP)」「Google Cloud」の認定パートナーです。
INDEX
Adobe Analytics(AA)とは
Adobe Analytics(AA)は、Adobeが提供するアクセス解析ツールで、「Adobe Experience Cloud」製品の1つです。高いカスタマイズ性や、高精度なWeb分析機能、自由度の高いレポート機能を持ち、ビジネスに適した計測・分析を素早く行うことができます。
ただし、導入には専門のサポートが必要になることが多いため、難易度が比較的高いツールといえるのではないでしょうか。
また、GA4と違い無料版を提供しておらず、サービス範囲に応じた3パッケージのみとなっています。
大規模なサイトを運用しており、細部の検証を実施したい企業などに向いているといえます。
参照元:https://business.adobe.com/jp/products/analytics/adobe-analytics.html
Google アナリティクス 4 プロパティ(GA4)とは
Google アナリティクス 4 プロパティ(GA4)は、アプリとウェブでのユーザーの行動データを統合し、デバイスやチャネルをまたいで複雑化するカスタマージャーニーを一元的に分析することが可能な解析ツールです。
全ての計測が「イベント」を軸に行われるシンプルなデータ構造を持ち、機械学習による予測機能なども搭載されています。無料版から利用でき、Google広告やBigQueryといった他のGoogle製品との連携がスムーズな点が大きな強みです。
他にも、機械学習を取り入れたインサイトの発見や、ユーザーデータの保護など、昨今のデータ活用に不可欠な機能が揃っています。
また、GA4には無料版の他、様々な制限が緩和される有料版のご用意があります。
「収集できるイベント上限の緩和」や、「サンプリングの回避」「データ保持期間の延長」「(Other)の表示回避」「データセットの設定エラーの解消」「サブプロパティの作成」「Google広告連携におけるオーディエンス作成上限の緩和」「BigQueryへのエクスポートの上限緩和」など、様々なメリットがあるため、おすすめのツールとなっています。
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Adobe AnalyticsからGA4への移行を成功させる3つの重要戦略
では、実際にAdobe AnalyticsからGA4へ乗り換える際に、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?弊社では、過去に数々のお客様の乗り換えをサポートしております。今回は、そんな多数の事例で経験した、3つの注意すべきポイントをご紹介します。
注意すべきポイント1
計測の仕様が異なるため「再現」でなく、計測仕様の違いを理解し「再考」する
Adobe AnalyticsとGA4の計測仕様が異なるため、乗り換えの際には各計測項目についてどのような数値が必要かを細かく整理する必要があります。
GA4は扱い易い分、Adobe Analyticsほど自由に計測項目を変更することができません。乗り換える際には、Adobe Analyticsの計測項目をそのまま再現しようとするのではなく、GA4で計測できる項目に合わせて、計測項目を検討し直す方が良いでしょう。Adobe Analyticsを「再現」するのではなく「再考」するのがおすすめです。
また、Adobe AnalyticsとGA4の比較期間を設けて、収集したAdobe AnalyticsとGA4のデータでどの程度、数値の誤差があるか確認したい場合は、それが仕様によるものなのか、計測方法の違いによるものなのかを見極めながら精査することが重要です。
このように、計測の仕様を意識した要件定義や設計が必要になるため、Adobe AnalyticsからGA4への乗り換えには、専門知識が不可欠と言えます。
以上のことから、信用できるパートナーへ相談されることをおすすめします。
注意すべきポイント2
Adobe Analyticsレポートの代わりに、GA4の「探索レポート」と「Looker Studio」を活用する
Adobe Analyticsは自由度の高いレポート機能を備えているツールです。一方、利用者がGA4と比べて少ないことで、書籍といった学習ツールが少なく、使いこなす為の学習が難しいという課題があります。
このため、Adobe Analyticsを習得するまでに時間がかかったり、独学が難しいと感じるユーザーも少なくないようです。
弊社が乗り換えをサポートしたお客様からも「専門知識を有した特定のユーザー以外は、活用の機会が少なかった」というお声もお聞きします。
とはいえ、Adobe Analyticsの「Analysis Workspace」の自由度の高さに慣れている方には、GA4の「標準レポート」に物足りなさを感じるかもしれません。そこで重要となるのが、「探索レポート」と「Looker Studio」の活用です。
探索レポート:
「探索レポート」には、分析者が自由にデータを深掘りするための機能が備わっています。特に「自由形式レポート」や「目標到達プロセスデータ探索」は、特定のセグメントの行動分析や、コンバージョンに至るまでの経路分析に役立つ便利な機能です。
Looker Studio(旧 Google データポータル):
GA4以外のデータも統合して可視化を行いたい場合は、「Looker Studio」を合わせて利用することをおすすめします。
また、Looker Studioを使えば、BigQueryを使って統合した様々なデータを可視化することも可能です。
GA4に乗り換えの際に、更なるデータ活用をお考えの方は、豊富な知見をもったパートナーにデータの統合と可視化をセットで依頼するのがおすすめです。
注意すべきポイント3
Googleツールで統一することで、費用を抑える
乗り換えの大きな動機の一つが「コスト削減」です。
実際に弊社のサポートしたお客様の多くが、この課題を挙げています。
Adobe Analyticsには無料版がなく、且つサービス範囲に応じた3パッケージのみとなっています。
その点、GA4は無料版に加え、大規模データにも対応できる有料版であるGoogle アナリティクス 360(以下GA360)があります。且つGA360は、利用したイベント数に応じた柔軟な料金体系となっています。そのため、余計な経費をかけたくない企業様に最適と言えるでしょう。
また、コストメリットを最大化する鍵は、Google Cloud(特にBigQuery)の活用をセットで考えることです。 ライセンス費用だけでなく、Google タグ マネージャー(GTM)による実装コストの削減、Google広告やサーチコンソールとのシームレスな連携による広告運用効率の向上、そしてBigQueryにデータを統合することで実現する高度な顧客分析まで見据えることで、ツールの乗り換えは単なるコスト削減に留まらない、事業成長への戦略的投資となります。
Adobe Analytics時代に組織内で利用していたツールをGoogle製品に統一することで、ツール利用コストが3分の1程度と、大幅に削減された事例もございます。
そして、Google製品に統一する際には、GMPだけでなくGoogle Cloudの知見も豊富なパートナーに相談することが重要です。
このように、Adobe AnalyticsからGA4へ乗り換える際には、その他ツールの見直しも合わせて行うことをおすすめします。
失敗から学ぶ!Adobe AnalyticsからGA4への移行でよくある3つの落とし穴と対策
落とし穴1:指標の定義を揃えず「数値が合わない」と現場が混乱
「Adobe AnalyticsとGA4の数値が合わない!」これは非常によくあるケースです。
前述の通り、両者の定義は異なります。これを理解しないまま数値を比較し、「データがおかしい」と現場が混乱すると、ツールへの信頼も失われてしまいます。
対策: 移行を決定したら、最低でも数ヶ月は両ツールを並行稼働させ、データの差異における傾向を掴む期間を設けましょう。そして、移行プロジェクトの初期段階では、関係者全員と「GA4で見るべきKPI」とその定義をすり合わせ、合意形成を行うことが不可欠です。Adobe Analyticsと比較するのではなく、「GA4では、こう見る」という新しい基準を作る意識が重要です。
落とし穴2:過去データとの比較ができず、年次レポートが作成不能に
GA4には、Adobe Analyticsの過去データをインポートする機能がありません。そのため、移行後に「去年の同じ時期と比較したい」と思っても、Adobe Analyticsの過去データを閲覧できず、年次の事業報告などで困るケースがあります。
対策: 過去の重要なレポートデータは、事前にAdobe AnalyticsからCSV形式などでエクスポートし、保存しておくことを強く推奨します。
落とし穴3:無理矢理GA4でレポートを再現しようとして、コストが膨大になる
Adobe Analyticsで使っていた複雑なレポートを、GA4やLooker Studioで「忠実に」再現しようとするケースです。しかし、ツールの設計思想が異なるため、再現の難易度は非常に高く、結果として膨大な実装コストがかかってしまいます。
対策: ツールに合わせてレポーティングのあり方も「再考」しましょう。「全社で見るべきKPIダッシュボード」と「分析チームが使う深掘り用レポート」を明確に分け、シンプルなものから構築していくのが成功の秘訣です。
Adobe AnalyticsからGA4への乗り換えには、実績豊富なイー・エージェンシーへご相談ください!
いかがでしたか?
今回は、GA4の特徴と、Adobe AnalyticsからGA4へ乗り換える際に注意するべきポイントについてご紹介しました。
Adobe AnalyticsからGA4への乗り換えは、単なるツールの入れ替え作業ではありません。ビジネスゴールに基づいたKPIの再定義、GA4の思想に合わせた計測設計、そしてGoogle Cloudと連携したデータ活用基盤の構築までを含む、戦略的なプロジェクトです。
Adobe AnalyticsからGA4への乗り換えには、様々な注意すべきポイントがありますが、いずれも乗り換え導入実績が豊富なコンサルタントに依頼するのが、もっとも早く確実な方法と言えます。
イー・エージェンシーでは、Adobe AnalyticsからGoogle アナリティクス・GA4への乗り換えだけでなく、BigQueryで統合したデータの可視化や、Google Cloudを絡めた活用も数多くご支援してまいりました。
豊富な知見と実績に基づき、お客様のビジネスを成功に導く最適なデータ活用戦略をご提案します。
ぜひお気軽にご相談ください。
【動画】Google マーケティング プラットフォーム (GMP) 導入・活用支援のご紹介

本動画では、イー・エージェンシーから「Google マーケティング プラットフォーム(GMP)」をご契約された際の「付帯サービス」や「具体的な成功事例」について、動画でわかりやすくご紹介します。
「 Google アナリティクスの無料版と有料版の違い」や「そもそもGoogle マーケティング プラットフォーム(GMP)とは何か?」など、GMPツールについてもご紹介しています。
GA4を導入するならイー・エージェンシーにご相談ください

イー・エージェンシーは、「Google マーケティング プラットフォーム(GMP)」の認定セールスパートナー、「Google クラウド プラットフォーム(GCP)」の認定パートナーです。
また弊社はGoogleより2021年上半期における Google アナリティクス 4 プロパティ(GA4)の数多くの導入支援実績を評価され、認定セールスパートナーとしてアワードを受賞しております。
これまでの豊富な実績を元に、GA4導入・移行をお客様のビジネスに寄り添い支援させていただきます。
まずはお気軽にご相談ください。
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この記事を書いた人

マーケティングプランナー 新卒でイー・エージェンシーに入社。 デザイナー兼マーケティングプランナーとして活動しています。ウェビナーやトレーニング動画の編集にも従事。
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